包括的な多国間主義のためのパートナーシップ 「プリゴジン死亡の大騒ぎ」がかき消そうとしているBRICSビジネス・フォーラムのテーマ
♣日刊IWJガイド「ロシアのプーチン大統領がBRICSでビデオ演説、『我々の経済関係の脱ドル化プロセスは不可逆的であり、加速している』!」(*はセワヤキ)
8月22日から24日(*23日プリゴジン死亡説)にかけて、「BRICSとアフリカ: 相互に加速する成長、持続可能な開発、包括的な多国間主義のためのパートナーシップ」をテーマに掲げて、南アフリカのヨハネスブルグで開催された第15回BRICS首脳会議の、「BRICSビジネス・フォーラム」で、プーチン大統領が行った演説紹介
BRICSビジネス・フォーラム参加者へのビデオ演説 IWJによる仮訳の*要約
「(…)世界経済の状況もまた、非合法な制裁措置や、主権国家の資産の違法な凍結によって、深刻な影響を受けています。これは、本質的に、自由貿易や経済生活の基本的な規範やルールを踏みにじる行為に等しく、少し前までは不変と思われていた規範やルールも踏みにじられていることを示しています。
資源の不足、不平等の拡大、失業率の上昇、世界経済におけるその他の慢性的な問題の悪化は、この直接的な結果なのです。食料、基本的な農産物の価格は上昇を余儀なくされ、最も脆弱な貧しい国々を最も苦しめています。
重要なことは、このような状況下で、BRICS諸国が交流を強化し、経済成長と持続可能な開発を確保するための我々の共同作業が、具体的で目に見える成果をもたらしていることです。 より多くの新しいインフラや投資プロジェクトが立ち上げられ、相互貿易が拡大し、産業界との接点が広がっています。
重要なことは、我々の協力が、平等、パートナー支援、相互の利益の尊重という原則にもとづいていることです。そしてそれこそが、我々の協会(BRICS)の将来を見据えた戦略的方針の核心にあるものです。いわゆるグローバル・マジョリティと呼ばれる、世界共同体の大半の願望を反映した方針です。
数字がすべてを物語っています。過去10年間で、BRICS諸国間の相互投資は6倍に増加しました。(…)我々の経済関係の脱ドル化という、客観的かつ不可逆的なプロセスは、加速しています。我々は、相互決済と通貨・金融管理のための効果的なメカニズムの微調整に取り組んでいるところです。その結果、BRICS内の輸出入業務に占める米ドルの割合は低下しており、昨年はわずか28.7%にとどまりました。
なお、今回の首脳会議では、5カ国間の経済協力のあらゆる分野における自国通貨への移行に関連する、あらゆる問題について、詳細に話し合う予定です。BRICS新開発銀行は、すでに西側の既存の開発機関に代わる信頼のおける機関となっており、こうした取り組みにおいて大きな役割を果たすことになるでしょう。
(…) ロシアは、世界市場へのエネルギーと食糧資源の、信頼性の高い、途切れることのない供給に関して、BRICS内での協力強化を支持しています。我々は一貫して、グローバルサウス諸国への燃料、農産物、肥料の供給を増やしており、世界の食料・エネルギー安全保障の強化、深刻な人道問題への解決、援助を必要としている国々における飢餓と貧困に対する闘いに大きく貢献しています。
(…)例えば、昨年ロシアとアフリカ諸国間の農産物貿易は10%増加し、67億米ドルに達しました。そして今年の1月から6月にかけては、さらに過去最高の60%の伸びを記録しました。我が国は、アフリカ大陸への責任ある食料供給国であり、今後もそうあり続けます。 ロシアからアフリカへの穀物輸出は、2022年には1150万トン、2023年の上半期には1000万トン近くに達しました。これは、ロシア産食品の輸出を著しく妨げ、輸送のロジスティクス、保険、銀行決済を複雑にしている不法な(対露)制裁が課されているにもかかわらず、です。
ロシアは、海外への穀物や肥料の供給を意図的に妨害されており、同時に、現在の世界市場の危機的状況を(作り出していると)偽善的に非難されています。 これは、国連事務局の参加のもとで締結された、いわゆる「穀物取引」の履行にはっきりと示されていますが、当初は世界的な食糧安全保障を確保し、飢餓の脅威を減らし、最貧国に援助を提供することを目的としていました。 我々は、この協定のもとで、1年間にウクライナから合計3280万トンの貨物が輸出され、そのうち70%以上が、欧州連合(EU)を含む高所得国および高中所得国に届けられているという事実を、繰り返し警鐘を鳴らしてきました。後発開発途上国への輸出はわずか3%、つまり、100万トンに満たないのです。
世界市場へのロシアの穀物・肥料輸出に課された制裁の解除に関する、取り決めの条件は、どれも履行されていません。この点に関するロシアに対する義務は、まったく無視されています。鉱物性肥料の自由な輸送さえもヨーロッパの港に滞留させられ、妨害されています。 実際、これは純粋に人道的な活動であり、原則として、いかなる制裁も受けるべきものではありません。 これらの事実を念頭に置き、我々は、7月18日以降、いわゆる協定のさらなる延長を拒否してきました。そして、ロシア側に対するすべての義務が実際に履行された場合に限り、我々は協定に復帰する用意があります。
(…)第一段階として、我々はアフリカ6カ国にそれぞれ2万5千トンから5万トンの穀物を無償で提供し、無料では輸送することを決定しました。 パートナーとの交渉は、完了しています。
交流の優先分野の中には、中小企業支援をテーマとするBRICS加盟国のアプローチのさらなる調整も含まれています。これは、5カ国グループ(BRICS)の全体的な経済アジェンダの重要な部分であり、行政・税制の規制、デジタル化、電子商取引、バリューチェーンへの参加に関して、企業活動に従事する最も広範な市民への支援を意味します。(…)
経済の脱炭素化、人間が自然に与える影響の削減、気候変動への適応という観点から、BRICS内の協力を発展させ続けることも、同様に重要です。ロシアは、国際舞台において、気候変動に対する、よりバランスの取れたアプローチを促進するために、共同で取り組む用意があります。 我が国は、国家低炭素開発戦略を一貫して実施しています。我々は、技術革新の導入、手頃な価格のクリーンエネルギーへのアクセスのためのインフラの近代化、陸と海の生態系の保全などを通じて、遅くとも2060年までにロシア経済のカーボンニュートラルを達成することを計画しています。 我々は、原子力発電、水力発電、ガスモーター燃料など、すでに長い間使用されている技術も含め、さまざまな技術によって、気候変動目標の実施を促進できることを理解しています。
以上、BRICS内の多面的なパートナーシップと協力は、各国の持続可能な成長の確保に大きく貢献するだけではなく、世界経済の回復と、国連が設定した世界開発目標(貧困との闘い、質の高い医療への人々のアクセスの拡大、飢餓の撲滅、食糧安全保障の改善)の成功裏の達成を促すものであることを、改めて申し上げたいと思います。(…)」