WHOの変身 WHOのIHRの改訂案とパンデミック条約 全国有志医師の会ニュースレターVol.31 参考 (強調はセワヤキ)
WHO=World Health Organization=世界保健機関
IHR=International Health Regulations=国際保健規則
PHEIC =public health emergency of international concern=国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(パンデミック条約)
◆IHR(国際保健規則)の改訂とPHEIC(パンデミック条約)へのロードマップ
2021年も終わろうとする頃、米国バイデン政権とEU委員会からそれぞれ、WHOの役割を再定義し、その権限を抜本的に拡大する提案として、IHR国際保健規則の改訂と新たなパンデミック条約の提案が行われました。どれも、次のパンデミック時に「効果的な協力関係」を実現するため、という名目の下に提案されたものです。この二つの提案は別々に提案されたものですが、お互いに補完し合うような構造になっています。(英文https://my159p.com/l/m/QUOCmWCrReRrJt )
また、IHR国際保健規則の「改訂」(要約 英文)は、300以上の変更箇所と大量な書き足し、および6つの新規条項と新規付属書1つを含むもので、むしろ「書き換え」と呼んだ方がより正確な表現になります。(原文参照 ) そして、その可決に向けて次のようなロードマップが取り決められました:
第77回国世界保健総会、2024年5月
1)対象:国際保健規則改訂WHO憲章第22条→草案+交渉中→単純多数で可決→12ヶ月後に発効(2025年6月)あるいは10か月以内に拒否(脱退)
2)対象:パンデミック条約(CA+)WHO憲章第19/22条→草案+交渉中→2/3多数で可決→18ヶ月以内に各国で批准 すなわち2025年11月まで
このように、全ては2024年5月の第77回世界保健総会(WHA)で決まるように設定されています。特に、 国際保健規則の改訂は、単純な多数決で1票でも多ければ可決され、反対したり棄権した国は、そのまま新たな状況に甘んじるか、10ヵ月以内にWHOを脱退するかの選択を余儀なくされます。
◆国際保健規則の改訂案(要約):
1)『勧告から義務への変更』: WHOの全体的な性格を、単に勧告を行うだけの諮問機関から、法的拘束力を持つ統治機関に変更する。(第1条および第42条)
2)『実際の緊急事態(PHEIC)ではなく、潜在的な緊急事態を対象とする』: 国際保健規則の適用範囲を大幅に拡大し、単に公衆衛生に影響を及ぼす可能性のある場合のシナリオを含む。(第2条)
3)『尊厳、人権、自由の無視』: 条文中の「人々の尊厳、人権、基本的自由の尊重」を削除。(第3条)
4)『保健製品の割当を行なう』: WHO事務局長に「保健製品の割当計画」を通じて生産手段を管理させ、先進締約国にパンデミック対応製品を指示通りに供給するよう求める。(第13条A)
5)『強制医療』:健康診断、予防薬の証明、ワクチンの証明、接触者追跡、検疫、治療を義務づける権限をWHOに与える。(第18条)
6)『グローバルヘルス証明書』: 検査証明書、ワクチン証明書、予防接種証明書、回復証明書、旅客所在確認書、旅行者の健康宣言書を含む、デジタル形式または紙形式のグローバル健康証明書システムを導入する。(第18条、第23条、第24条、第27条、第28条、第31条、第35条、第36条、第44条、付属書第6条、第8条)。
7)『主権の喪失』: 健康対策に関して主権国家が下した決定を覆す権限を緊急委員会に与え、緊急委員会の決定を最終決定とする。(第43条)
8)『不特定の、潜在的に莫大な財政的コスト』: 何十億ドルという指定のないお金を、説明責任のない製薬・大病院・緊急事態産業の複合体に割り当てる。(第44条A)
9)『検閲』:WHO世界保健機関が誤報や偽情報とみなすものを検閲する能力を大幅に拡大する。(附属書1、36ページ)
10)『協力義務』: 改訂IHRの発効時点で、PHEICを執行するためのインフラの構築、提供、維持の義務を設ける。(附属書10)
(『』は筆者による要約 #ExitTheWHO をやめるべき 10 の理由、James Roguski氏の要約を参考。 なお、#TheGreatFreeset とは、人間固有の自由と力を真に活用することで、自分自身を解放しようとするもの。世界経済フォーラムのイニシアチブであるグレート・リセットや、世界保健機関WHOによる現在進行中の権力掌握に対抗するための有効な選択肢。)
更に重要なことは、 PHEIC(パンデミック)宣言とともに、各国の憲法が覆えされてしまうという事です。WHO緊急委員会の決定が最も権威のある最終決定になり、事実上主権国家が主権をWHOに預けることになります。この決定には、いわゆるチェック・アンド・バランス(不均衡を牽制する機能)が一切無いことが特徴です。
上記の項目が実効されると、日本でかろうじて維持されてきたワクチン接種の選択の自由などは簡単に吹き飛ばされてしまいます。例えば、”ワンヘルス”の下では、鶏の間で流行っている鳥インフルエンザをWHOが潜在的に危機をはらんでいると決める可能性があり、PHEICが発動されると行動の自由やその他の人権が封じ込まれ、そのために準備された、ヒト用のワクチンが強制的に打たれる、ということが起こりかねないのです。
つまり、WHOの一存で全世界(加盟国)に保健の名の下で戒厳令がひかれるということを意味しています。
このような決定的な取り決めが、一部の国(米国など)をのぞいて議会で一切議論されず、国民に知らされることなく採決されようとしています。そして、機を一にして、日本の改憲の関連での緊急事態条項の追加に向けての動向も、このような流れと同調しているように見えます。
このWHOの目論みが実現されると、日本国内の改憲による政府の膨大な権限拡大に留まらず、国家そのものの主権がWHOに自動的に移行するシステムが築かれようとしていることに留意する必要があります。
筆者紹介:上條泉
20代後半から30年以上欧州と米国で仕事に従事。ドイツ・フライブルグ大学のスピンオフでガン治療開発の仕事に従事した後、2021年に日本に帰国。現在、ドイツのクリニック等に開発したガン治療のノウハウを提供。World-Council-for Health日本支部の理事・事務局長。