メチル水銀中毒症 マグロは危険?! メチル水銀➡(英Methylmercury 独Methylquecksilber)水銀がメチル化された有機水銀化合物の総称で 生物濃縮性の高い毒物。 水俣病の原因はメチル水銀だった。
♣メチル水銀(MeHg)、「核」に次ぐ人類の脅威!
熊本大学名誉教授 入口紀男 https://www.asoshiranui.net/minamata/com06.html
米国政府はメチル水銀を「核」に次ぐ人類の脅威と位置付けていますが、日本政府は対策を講じていません。北太平洋のメチル水銀濃度は年々高くなっていて、水俣湾の初期の状態に近づいています。しかし、国民にはその危険性が知らされていません。(以下、抜粋)
(…) 石炭を焚くと水銀は蒸発して偏西風(へんせいふう)に乗り、やがて上空で冷えて雨滴とともに地上や海上に降ってくる。それを微生物がメチル水銀に変える。 (…) プランクトンは、そのメチル水銀を体内に蓄積する。プランクトンのメチル水銀濃度は、海水のメチル水銀濃度より約 1万倍高い。海の食物連鎖の中でメチル水銀はそのさらに 10~100倍以上に濃縮される。メチル水銀は魚介類を通して人体にとり込まれる。 (…) この測定結果では、1年間に 50キログラムの魚介類を食べると、日本人は 1年間に 7.5ミリグラムの総水銀を食べ、1年間に 7ミリグラムのメチル水銀を食べていることになる。ジメチル水銀は、体重 50キログラムの人が一度にとったときの致死量は「2.9ミリグラム」と考えられている。これは人が重さをほとんど感じないほどの微量である。これを何週間もかけてゆっくりととった場合は、後述する脳の「補償機能」によってメチル水銀中毒症はほとんど現れない。それでも、生涯をかけて「200ミリグラム」をとった場合はその補償機能にも限界が生じてメチル水銀中毒症の症状が現れると考えられている。
(…) メチル水銀は、大脳の「体性感覚野」、「視覚野」といった重要な組織を破壊する。また、小脳の「顆粒細胞層」という組織などを破壊する。その結果、重篤な場合は、感覚のにぶり(感覚障害)、筆記障害その他の運動障害、視覚障害、聴覚障害、言語障害、四肢の一部や舌・口周のしびれなどが起きる。メチル水銀には排泄による生物学的半減期(約 70日)はあるが、メチル水銀による脳細胞の破壊は不可逆である。その半減期の間に破壊された中枢神経細胞が修復されることはない。
(…) 米国はメチル水銀を「放射能に次ぐ国民の第二の脅威」と位置づけ、魚介類のメチル水銀に対して世界で最も厳しい「摂食量規制値」を設けている。米国では、誰も「1週間に体重 1キログラムあたりメチル水銀を 0.7マイクログラムまで」しか食べてはならない。
(…) 食べて生き延びても、脳は破壊された細胞の墓場と化しながら、メチル水銀の生涯摂取量が200ミリグラムに達するまでは補償機能によって脳全体の機能としては見かけ上正常な機能を維持する。 (…) 特に、海の食物連鎖の頂点に立つクロマグロ(ホンマグロ)のメチル水銀量は 1キログラムあたり平均 0.7 ミリグラム、最大 6ミリグラムなので、それを食べたとき、その最小の致死量は 483グラム、平均の致死量は 4.14 キログラムである。
(…) 日本が子どもに潜在的な「学習障害」(LD)が発症しないようにするなど米国のメチル水銀中毒症対策のレベルに追いつくには、中国をはじめ世界各国で石炭を焚かないように制限する(石炭消費量をおよそ半量近くまで削減する)よう働きかけるか、または日本が現在の漁獲量の総量をおよそ半量近くまで削減するしかない。
(…) 厚生労働省は、摂食を規制することは「風評」につながることを恐れるとしたうえで、「妊婦」に対してのみ、また、「マグロ」などに関してのみ「注意事項」のみを公表している。それも「注意事項」であって米国のような「量的規制」ではない。そのうえで、妊婦以外の人はどんな魚介類をいくらでも多く食べてよいとしている。国民や妊婦、生まれてくる子どもの健康よりも産業(漁業)のほうを保護しているのである。 (…)近年、北太平洋で獲れて国内で流通する魚介類のメチル水銀濃度(含有量)は極めて高く、2003年の測定データ(魚介類のメチル水銀値平均 0.14ミリグラム)が最後であるが、それから 15年以上経った現在は、1キログラムあたり平均 0.2ミリグラムに近いと推定される。これは、メチル水銀中毒症が起き始めた初期(1940年頃)の水俣湾のレベルに近い。
動物プランクトンの中のMeHgの濃度は、周囲の海水よりも50,000~1,000,000倍高くなる。海水中の水銀濃度とこれだけの差ができるのは、海水中の微量の水銀を海洋食物網の中でプランクトンが濃縮させていくからである。(動物プランクトンが植物プランクトンを食べる)
※ Immer mehr Quecksilber im Thunfisch マグロの水銀汚染度が増加傾向に(2015?)一般的には、海洋魚より川魚のほうが、大魚より小魚のほうが汚染度は低い。https://vivoterra.com/thunfisch-quecksilber-und-alternativen/
※ マグロとカツオの違いは? マグロは体重400kg、寿命30年以上!? カツオは体重20kg、寿命は6年ほど
https://medakasuisan.com/maguro/post-1809/
※漁獲場所によってマグロの汚染濃度は変わる 2017.09.15 https://nereusprogram.org/ja/works/2416/
※気候変動と乱獲による海洋捕食者による水銀蓄積 Nature誌掲載 2019.08.07