菅総理は対決と紛争を決意?!~日米首脳会談が呼び込んだ災い~
♣【日刊IWJ 2021.04.19より】日米首脳会談共同声明で日中国交正常化以来初めて台湾問題に言及! 菅総理は自ら「日本の防衛力強化」を申し出! 米国は「核を含むあらゆる種類」での日米安保支持を表明! 猛反発する中国! グローバル・タイムズは「日本は中国との軍事衝突で米国の犠牲になることを避けるべき」との専門家の警告を掲載! 「原発を抱えたまま米国の戦争の鉄砲玉」になる悲劇が現実に迫っている!!
自由で開かれたインド太平洋を形作る日米同盟 (セワヤキ注: 中国包囲網)
「日米両国は、主権及び領土一体性を尊重するとともに、平和的な紛争解決及び威圧への反対にコミットしている。日米両国は、国連海洋法条約に記されている航行及び上空飛行の自由を含む、海洋における共通の規範を推進する」
「日本は同盟及び地域の安全保障を一層強化するために自らの防衛力を強化することを決意した」
「米国は、核を含むあらゆる種類の米国の能力を用いた日米安全保障条約の下での日本の防衛に対する揺るぎない支持を改めて表明した」
日本の米軍基地負担 (セワヤキ注: 基地建設、兵器爆買、思いやり予算)
地域的な問題でも金銭的な問題でも一層強化するという宣言
「日米両国は、普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策である、辺野古における普天間飛行場代替施設の建設、馬毛島における空母艦載機着陸訓練施設、米海兵隊部隊の沖縄からグアムへの移転を含む、在日米軍再編に関する現行の取決めを実施することに引き続きコミットしている。日米両国は、在日米軍の安定的及び持続可能な駐留を確保するため、時宜を得た形で、在日米軍駐留経費負担に関する有意義な多年度の合意を妥結することを決意した」
「中国の挑戦を受けて立つ」姿勢を強調
「菅総理とバイデン大統領は、インド太平洋地域及び世界の平和と繁栄に対す中国の行動の影響について意見交換するとともに、経済的なもの及び他の方法による威圧の行使を含む、ルールに基づく国際秩序に合致しない中国の行動について懸念を共有した」
「中国の不法な海洋権益に関する主張及び活動への反対を改めて表明する」
「日米両国は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」
「香港及び新疆ウイグル自治区における人権状況への深刻な懸念を共有する」
【IWJコメント】 17日付け東京新聞は、「日米首脳の共同文書での台湾言及は、1972年の日中国交正常化前となる、69年に佐藤栄作首相とニクソン大統領が出した共同声明以来」と報じています。(➡ 「中国の挑戦を受けて立つ」…https://www.tokyo-np.co.jp/article/98820)
菅総理、首脳会談後の記者会見で
「インド太平洋地域と世界全体の平和と繁栄に対して中国が及ぼす影響について、真剣に議論を行いました。東シナ海や南シナ海における、力による現状変更の試み、そして、地域の他者に対する威圧に反対することでも一致しました」
「私から、日本の防衛力強化への決意を述べた」
菅総理、首脳会談の後、戦略国際問題研究所(CSIS)に対して、オンラインで講演 (外務省、2021.04.16 https://www.mofa.go.jp/mofaj/na/na1/us/page1_000949.html)
菅総理「私は、主権に関する事項、民主主義、人権、法の支配などの普遍的価値について、譲歩する考えはありません。中国が惹起する様々な懸案については、日本として、主張すべき点はしっかり主張し、中国側の具体的な行動を強く求めていく方針です」
【日刊IWJコメント】 米国の最も好戦的なシンク・タンクであり「ジャパンハンドラー」が集まるCSISでの菅総理の講演については、日本の大マスコミはほとんど報じていません。「譲歩しない」とは、国交の断絶や平和の終わりと戦争の始まりすら「決意」しているかのような表現です。中国は西側諸国の政治体制とは異質な、共産党一党独裁体制を堅持しており、50年前からそれはわかっていたことです。 民主主義、法の支配、人権などの普遍的価値については、日本が「譲歩する考えがない」というならば、日本も国交回復すべきではなかったということになります。国際社会において、異質な「他者」を排除しようとすれば、必ず紛争が発生し、経済も滞ります。「他者」に妥協しつつ、共存するのが、平和を保つ唯一の策です。
世界中を驚かせ、「ニクソン・ショック」とも言われた、1972年のニクソン米大統領の中国訪問と、その後、79年に正式に実現した米中国交回復以来、米国が台湾を独立国家として認めることをやめ、共産中国の主張する「一つの中国」を承認することが、少なくとも外交の建て前として、半世紀近く続いてきました。この72年のニクソン・ショック以来の米国の対中外交の基本方針を転換する姿勢をバイデン大統領が示した、ということなのです。これは非常に重大な意味をもつものであり、中国は決して受け入れることはできません。
中国側、菅総理の発言に猛反発 http://www.china-embassy.or.jp/jpn/sgxw/t1869619.htm
駐日中国大使館「日米双方が首脳会談および共同声明において、中国に対し、言われ無き指摘をし、中国の内政に乱暴に干渉し、中国の領土主権を侵犯したことに対し、中国側は強い不満と断固たる反対を表します。既に日米双方に厳正なる申し入れを行いました。 日米のいわゆる中国の行動がルールに基づく国際秩序に合致しないとの言い方はまったく事実無根のものです。今の世界において、国連を核心とする国際システム以外、システムというものはありません。国連憲章の趣旨を基礎とする国際関係の基本準則以外、ルールというものはありません。中国側は東中国海、南中国海における立場および主張に十分な歴史的、法的根拠があり、これからも引き続き領土主権および海洋権益を断固として維持していくと同時に、対話、協議を通じて、食い違いを解決し、関連海域の平和と安定を維持していきます。
(中略) 日米同盟は特殊な二国間枠組みとして、第三国を標的にすべきでなく、ましては第三国の利益を損害してはなりません。日米は冷戦思考にしがみつき、排他的な小さいサークル(セワヤキ注:クワッド)を作り上げ、政治的対立を煽り立てることは完全に時代の流れに逆走する動きで、地域国家が平和を求め、発展を図り、協力を推し進める期待に背いてしまい、その企みは必ず成り立ちません。中国は関連国家が陳腐で、時代遅れのゼロサムゲーム思考を放棄し、中国への言われ無き指摘、そして中国への内政干渉を中止し、実際の行動で二国関係および地域の平和と安定の大局を維持することを求めます。(後略)」
17日、中国外務省は声明発表
「『自由と開放』をうたいながら、実際には『小集団』(セワヤキ注:クワッド)を形成し、対立を煽っている米国と日本。地域の平和と安定を危うくしている『日米同盟』の本質を、世界にますます明確に知らしめることになるだろう」
「これまで日米声明では台湾に直接言及することはなかった」
「今回の共同声明は、日米両国の偽善を示すものであり、台湾について言及することは誤ったシグナルを送ることになり、台湾分離主義者に燃料を供給することになる。これは、日本が苦しむことになる地域的な不安定さをさらにもたらすもの」
「中国の近い隣国として、日本は自分の行動がどんな結果をもたらすかを考え直さなければならない」
「日本は中国との軍事衝突をできる限り避けるべきだ。日本の政治エリートは、日本が米国の犠牲になることを避けるために、最善を尽くさなければならない」
「日本にとって中国は、貿易や経済の面で、ワシントンよりもはるかに重要だ。財務省のデータによると、中国は2020年に日本の最大の輸出先となり、米国を飛び越えて、海外で販売される日本製品の22%以上を消費するという。 予測では、2022年の第2四半期に日本経済が2019年の水準に戻る可能性は低いとされている。日本は経済刺激を必要としており、中国との関係を悪化させることは、日本にとって逆効果にしかならない」(中国の国内総生産は約415兆7600億円 http://j.people.com.cn/n3/2021/0416/c94476-9840037.html)
♣日米首脳会談を分析・解説 時事放談(2021年4月)鳩山友紀夫 × 孫崎享
必聴⇨ https://www.youtube.com/watch?v=lqW9OZccCVA (30分過ぎ~)
♣アフガン戦争犯罪を隠蔽し、アメリカの対中国敵対方針に従うオーストラリアFinian Cunningham 2021.04.15 必読⇨ http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2021/04/post-1ad209.html (セワヤキ注: 従属国の成れの果て。まるで鏡で自国を見ているよう!)
(…)キャンベラ当局が、彼らの軍隊がアフガニスタンで行った戦争犯罪の不名誉について、オーストラリア国民に、くよくよ悩ませないことも非常に重要だ。隠蔽しなければ中国に対するアメリカの敵意キャンペーンを強化する政府の努力をだいなしにする。オーストラリア政治家は、中国を悪質な貿易行為と人権侵害のかどで告発して、中国に対するワシントンのけんか腰の態度を、おうむ返しにしている。キャンベラは中国に嫌がらせし、最終的に攻撃するため、アメリカの戦略的軍事投影地点になると申し出て、ワシントンと完全な同一歩調で、陣太鼓をたたきつけている。だがアフガニスタンでの戦争犯罪問題は、アメリカ応援団を勤める上で、オーストラリア政府の道徳的信用を落とす。それ故キャンベラ当局は、マクブライドとジュリアン・アサンジのような(戦争犯罪の告発者である)正直者もろとも自国の戦争犯罪の問題を隠蔽することを何よりも必要としているのだ。