「早期英語教育」☞日本が危ない!
※子どもの言語獲得と早期英語教育の盲点 中身は、グローバル企業の求める「使用人」英語?!~福岡大学・山田英二教授(言語学博士)に聞く2020.1.27 https://www.chosyu-journal.jp/kyoikubunka/15514
(…)今の小学校からの英語教育に反対している人たちは、ことばの仕組み、論理的な仕組みに「気づく」ことが大事であるといっている。もっといえば、その「気づき」があれば、日本語もきちんと話せるし外国語も英語も学ぶことができる。それがないと言語を本当には獲得することはできない。単純会話の応答レベルでとどまっている限り、外国語で議論もできないし、深い内容については理解することができない。だから小学校からの英語教育より、むしろ日本語教育の方が大事ではないかと主張している。
(…)しかし、今おこなわれようとしている英語教育は、いわゆる「使用人」英語でしかない。相手(ご主人)がいったことに従って行動できる程度のものだ。本当に反論する力、思考する力は、母語としての日本語で文学や小説などを読むことから生まれてくる。今、文科省を中心に国をあげて「文系廃止」といっている。高校の国語教科書から文学作品をなくすといい、マニュアル文を読むような内容が国語教育になろうとしている。文学を読むことは、どう生きるかなど思想的な物事を考える機会にもなる。そのために文学は必要だが、生き方や国のあり方を考える人間がいない方がいいのだろう。極論をいえば、外国語教育の目的を上滑りの英語教育にしようとしていること、文系廃止、文学はいらないといっていることはつながっている。(…)その中身は、「なんとなく聞ける、話せる」レベルであり、それは「使用人」レベルの英語である。それではノーベル賞は出ない。
※国語教育について~内田樹の研究室http://blog.tatsuru.com/2020/01/06_1024.html
(…)「論理国語」を別建てにするというのでしたら、「論理的に思考するとはどういうことか」ということについてこの程度のことは考えて欲しいと思います。過去の卓越した知性がどのように論理的に思考してきたのか、それについて一秒でいいから考えてから「論理」というような言葉は口にして欲しい。「論理」という語を生徒会規約と議事録を読んで年度内に生徒総会の開催が可能かどうかを「推理」するというような知性の行使について使うのは、言葉の誤用だと僕は思います。そんな「推理」のためには論理的知性なんか要らないから。(…)子供たちにほんとうに伝えなければいけない言葉は、「親が反対しても、教師が反対しても、友だちが反対しても、世の常識が反対しても、それでも自分の直感と心に従う勇気を持ちなさい」ということなんです。(…)
※書評「英語の帝国」植民地化の言語政策を自ら求めた文科省http://tacktaka.blog.fc2.com/blog-entry-282.html寺島隆吉 2017.08
(…)1961年にウガンダのマケレレで開かれたブリテン連邦会議で、下記のような信条が確認され、イングランド語を「英語の帝国」として拡大していく際の原則、とみなされるようになった。(…)不幸なことに、旧植民地を大英帝国の属国として維持するためにまとめられた諸原則が、今、日本で小学校から大学にいたるまで大手を振ってまかりとおっている(…)
(…)あまり教育効果が見られないのは、導入時期の問題ではなく、小学校英語というのは、その性格上「ザルみず効果」に終わるしかないからです。(…)日常的に使う場のない日本では、丸暗記を強要された単語や言い回しは、「ザルに水を入れる」のと同じく、脳に溜まっていかないからです。しかも英語を丸暗記するのに浪費された膨大な時間は、小学校における他教科の時間を削減させることにつながり、必然的に、ノーベル賞を生み出した基礎学力、国語力や数学力といった基礎学力を低下させることにつながるでしょう。(…)
マケレレ会議の5原則
「英語は英語で教えるのがもっともよい」
「理想的な英語教師は英語を母語とする話者である」
「英語学習は早いにこしたことはない」
「英語に接する時間は長いにこしたことはない」
「英語以外の言語の使用は英語の水準を低下させる」
※日本人の真の学力を知らない文科省、アメリカンドリームが終わったことを知らない研究者http://tacktaka.blog.fc2.com/blog-entry-306.html
チョムスキー(言語哲学者)の新著『アメリカンドリームの終わり』(55-56頁)
チャータースクールは、国民の税金を民間企業に流し込もうとするひとつの政策であり、それは従来の公立学校制度という体制を土台から破壊するものです。かれらはチャータースクールの利点をさまざまに並べ立てていますが、そのことを証拠立てるものは何ひとつありません。ところが、今やアメリカ全土でチャータースクールが広がっているのです。これは公的教育機関の破壊に他なりません。
日本でもさまざまな手段で同じことをしようとする動きが出始めています。
(➡ https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/196/syuh/s196173.htm)
(…)チョムスキーはアメリカの教育荒廃について次のようにも述べています。
たとえば、ヨーロッパ、日本、中国に旅行してご覧なさい。そしてアメリカ合州国に戻ってきたとき、わたしたちの目に真っ先に飛び込んでくるのは、この国が崩壊してバラバラになりつつあるということです。 まるで発展途上国に戻ってきたかのような感じに襲われます。 道路や橋や港などの社会的基盤は崩壊しています。完全に破産状態です。教育制度も裁断機によって切り刻まれた紙くずのようになっています。何も機能していないのです。これは信じがたいほどの人的資源の無駄遣いです。(139-140頁)
※「日本が売られる」って、どういうこと? ジャーナリスト・堤未果さんが指摘する、民営化と規制緩和のワナ 公教育も「売られる」!
必読➡https://kokocara.pal-system.co.jp/2019/05/20/japan-is-sold-mika-tsutsumi/
堤:(…)2013年に、「世界で一番ビジネスをしやすい環境づくり」を目的に成立した国家戦略特別区域法のもとに展開された規制改革メニューの中に、「公立学校運営の民間への開放」も含まれています。(…)最大の敵は特定の政治家やグローバル企業じゃなく、自分たちの中にある「変えられない」という無力感だからです。(…)地方の政治に関心を持つことも大切です。水道や種子など生活に密着した問題は、自治体に権限がゆだねられていることが多く、条例でより厳しく規制することもできます。だから、地域の中で顔を合わせて話し合い、市長や県知事、市議や県議に、「わたしたちはこういう社会にしたい」という要望をぜひ直接伝えてください。(…)実際、静岡県浜松市では、水道事業にコンセッション方式が導入されようとしていたのですが、市民の運動によって導入が延期されました。(…)