新型コロナの治療薬 Ⅰ~レムデシビル(米)「特例承認」2020.5.7/ アビガン(日本)5月承認断念 2020.5.26
◆感染の第2波、第3波に備えるためPCR検査拡充などの備えを!RNAウイルスはワクチン製造が難しい!? 免疫向上や治療薬の開発など多角的な戦略を!ノーベル賞受賞者で京都大学特別教授・本庶佑氏2020.5.14 https://iwj.co.jp/wj/open/archives/474078
◆新型コロナの真実~長期戦を闘うために【新型コロナと闘う 児玉龍彦×金子勝】
2020.04.28 https://www.youtube.com/watch?v=biRtZzoM9NA(59分31秒)
2020.05.16 https://www.youtube.com/watch?v=8crwEQN_DbA (46分45秒)
各個人でリスクの度合いに差があるので「精密コロナ医療」がこれからの課題。定期的な健康診断/住民検査などを利用して精度の高い抗体検査などをやれば、感染者の分布がわかる。ワクチン製造は手間取るので抗ウイルス剤での治療が重要。ステイホームに気をとられていないで、これからは重症化しやすい人(高齢者、障害者、病人、その同居人も含む)を守る感染抑制に力点を移すべき。重症化しやすい人が発症したら、瞬時にアビガン服用で重篤化を予防する。平行して学校、病院、高齢者施設、グループホーム、警察、会社、そのほかライフラインを支える人達を感染から守る対策が重要になる。また、コネがある一部の人だけが熱がないのに検査を受けたりアビガンを飲めたりできるといった社会格差はなくす。今回の日本政府の最大の失敗は、対コロナ医療に重要な役を担うべき大学や研究機関までステイホームにしてしまったことだ。幸いなことに、今、大学の若い人達と民間の力が立ち上がりつつある。そこに日本の未来がかかっている。
児玉氏のステージ別治療法
《無症状》➡アビガン:ウイルスが消えるのに普通は11日かかるがアビガンで4日に短縮できる。重症化しそうな人(50歳以上)は診断が出たら無症状でも瞬時に飲み始める。比較的安全性が高いが妊娠の可能性のある人には危険。
《熱・咳・下痢・嘔吐》➡アビガン: 経口and/or レムデシビル: 注射
《肺炎》➡アクテムラ: 点滴。「免疫の暴走」で突然の重症化が起きたとき
《呼吸不全》➡ECMO: 免疫制御剤
◆政府の非科学的対策で日本は医療崩壊へ!? がんプレシジョン医療研究センター所長 東大名誉教授・シカゴ大名誉教授 中村祐輔医師 2020.5.8
https://iwj.co.jp/wj/member/archives/473914#memberB (ハイライト26分45秒)
政府は米製薬会社開発のレムデシビルを「特例承認」したのに、日本で開発されたアビガンは承認していない。政府はアビガン200万人分備蓄。これは患者が10倍に増えても充分な数。副作用として問題になっている催奇形性は高齢者にとっては何の問題でもない。経口薬なので使いやすいし、重症化や医療崩壊を防ぐために大いに役立つ。これを承認するのに新たな法令が必要ならそれを作ればいい。まだアビガンは承認されていないが、臨床研究という形で病院が届け出さえすれば患者に使用できる。入院先の病院が届け出してなければアビガンにはたどり着けないことになる。(➡https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14606)医療間格差はそこから出ている。重症化させない薬物の使用は最優先されるべき。PCRをどんどんやって、重症化する前にアビガンで治療するのが命を守るのに最重要。レムデシビルは重症者の6割に有効というのでは4割には効果がないということなので、重症化を防ぐアビガンの承認が先決。
小児の新型コロナ患者に免疫暴走で起きる川崎病の症状が出ている。免疫暴走はサイトカインという分子に関係していて急激な重症化の原因となる。暴走した免疫がウイルスではなく自己の臓器を攻撃してしまうのだ。重症化した患者にはリューマチの治療薬である“IL-6に対する抗体“(アクテムラ等)の使用も検討され始めた。
(祐輔氏のブログ2020.5.5http://yusukenakamura.hatenablog.com/entry/2020/05/05/000810)
◆ドイツ政府がアビガン購入決定 数百万錠、重症者に投与
https://news.yahoo.co.jp/articles/62df610e55f95a5a1cfb887b39ec0ff98e510740
◆レムデシビルは役に立つのか? アビガン差し置き特例承認へhttps://www.chosyu-journal.jp/seijikeizai/17025 2020.5.5
(…)新型コロナ治療をめぐっては、富士フイルム富山化学が開発した「アビガン」を国がすでに一定量(200万人分)備蓄しており、治療効果も確認されているため、医療現場で幅広い活用を求める声があいついでいた。だが政府はアビガンの早期承認は引き延ばし続け、日本国内の治験が始まったばかりで治療効果も十分確認されていない米国製新薬をスピード承認し、今月中の使用に踏み切ろうとしている。
(…)従来の抗インフルエンザ薬は最後の「遊離」段階でウイルスが細胞外へ飛び出ていくのを妨害する薬だが、アビガンはウイルスの複製を助ける酵素(RNAポリメラーゼ)を妨害しウイルスの「複製」を阻止する。それはできたウイルスをブロックする従来の薬と違い、「ウイルスが増殖するまえに細胞内でつぶす薬」であるため、インフルエンザ以外の多様なウイルスにも効果があると指摘されてきた。
実際にアビガンはエボラ出血熱の治療でも効力を示し、中国での新型コロナウイルス感染治療でも効力を発揮している。(…)アビガンには胎児に影響を及ぼす副作用があり、妊婦に投与できないという特徴もある。それでも約80カ国以上がアビガンの提供を日本に要請している。そのため医療現場や地方自治体もアビガンの早期投与を強く要求している。日本医師会は先月末、重症化するリスクの高い高齢患者などへのアビガンの早期投与を推進するよう自民党に要望書を提出した。(…)
こうしたなか、前例のない異常なスピード承認へ動き出したのがレムデシビルだ。レムデシビルは米ギリアド・サイエンシズがエボラ出血熱の治療用に開発していた抗ウイルス薬(注射薬)だが、エボラの治療では安全性と有効性が確認されず、どの国でも認可されていない。(…)ところが安倍政府は、米国政府がレムデシビルを緊急認可するとすぐさま米国に日本への安定供給を要請した。(…)こうして米国が正式な承認手続きも経ずに緊急承認した新薬を、日本における厳格な新薬審査制度を変更して、日本全国で使わせようというのである。
こうした異例の措置でレムデシビルの早期承認が実現すれば、レムデシビルは保険適用対象と認められ、日本全国の病院で使うことができるようになる。保険適用の対象外で「治験」目的でしか使えないアビガンを差し置いて、一気に全国普及することができる。それは日本の医薬品市場を米国の製薬大手が牛耳っていく可能性をはらんでいる。同時に性急な特例承認によって、全国で副作用があいつぐ危険も現実味を帯びている。
そして大きな問題は新型コロナ対応のどさくさに紛れて、日本の医療界、医薬品業界、研究者などが築き上げてきた新薬承認の基準を閣僚のみの判断で崩して政令を改定し、特例承認対象国に米国を追加したことである。それは今後、世界的規模の感染症が起き、治療薬やワクチンが必要になったとき、いつでも米国製新薬への特例承認を適用していく地ならしにほかならない。(…)