「地球文明構想」百派の思想の対立と異なる文明の百花の開花を促進する。他人のランプを吹き消しても自分は明るくなりません――習近平国家主席
♣日刊IWJガイド2023.8.25号 より要点のみ
■【第2弾! BRICSビジネスフォーラム閉会式で習近平国家主席が、各国にBRICSへの参加を呼びかける】習主席「すべての国には発展する権利があり、すべての国の人々は幸せな生活を追求する自由があります」、「百派の思想の対立と異なる文明の百花の開花を促進」する「地球文明構想」を提唱!
習近平国家主席の演説 (8月22日の閉会式)
「南アフリカでのBRICSビジネスフォーラムの開催成功おめでとうございます!」
「現在、世界、時代、歴史の変化はかつてないほど進行しており、人類社会は重大な局面を迎えています」「他人のランプを吹き消しても自分は明るくなりません」
「すべての国には発展する権利があり、すべての国の人々は幸せな生活を追求する自由があります」
「私たちは共通の発展と繁栄を促進する必要があります。新興市場国と発展途上国のほとんどは、歴史的な植民地主義の泥沼から抜け出してきました。 私たちは、国家の独立を獲得し、自国の条件に適した発展の道を模索し続けるために、計り知れない困難を経験し、多大な犠牲を払ってきました。私たちが行っていることはすべて、最終的には人々が幸せな生活を送れるようにすることです。 しかし、一部の国は覇権を失ったことを受け入れず、新興市場国や発展途上国をむやみに封じ込め、抑圧している。うまく成長する者は抑制され、追いつく者は障害となる。何度も言いましたが、他人のランプを吹き消しても自分は明るくなりません」。
「『変化は世界の本質である』。今日、BRICS諸国に代表される新興市場国と発展途上国のグループの台頭は、世界地図を根本的に変えつつあります。 新興市場国と発展途上国は、過去20年間で世界経済成長の80%も貢献し、世界のGDPシェアは過去40年間で24%から40%以上にも増加しました。『緑の丘がそれを覆うことはできない、結局のところ、それは東に向かって流れている』。(中略) 今日、BRICS諸国と50カ国以上が南アフリカに集まりましたが、それはどちらの側を選ぶためでもなく、陣営の対立をするためでもなく、平和的発展の大きなパターンを作り出すためでした。20カ国以上がBRICSのドアをノックしていることを嬉しく思います。中国はBRICS協力メカニズムに参加する皆さんを心から歓迎します」。
「私は世界文明の多様性の促進、全人類の共通の価値観の促進、文化交流と協力の強化を強調する『地球文明構想』を提唱しました。 中国は、すべての国が協力の開始に積極的に参加し、百派の思想の対立と異なる文明の百花の開花を促進し、交流の障壁を打ち破り、人類文明の灯火を継続することを歓迎します」。
★「美辞麗句』といえば、美辞麗句かもしれません。 しかし、習主席がスピーチの中で、「後進国」として扱われてきた各国の苦労を共有しつつ、以下の2点を強調していることは注目すべきです。
1)西欧の植民地主義への批判
2)多極化、諸国が共存共栄する「地球文明構想」
習主席は、中国の故事「百花斉放百家争鳴(自由に多彩な文化を開花させ、多様な意見を論争する)」を連想させる、「百派の思想の対立と異なる文明の百花の開花」という言葉を用いて、次の世界秩序のあり方、その方向性を示しています。
その実現が困難であることは明らかですが、もう今の世界秩序ではやっていけない、自分たちで新たな世界秩序を構築するのだと述べる言葉には、成長中の国家の勢いが感じられます。
習主席は23日のBRICS首脳会議でも、「公正・公平」な国際秩序の構築を進めていく上でのBRICSの重要性を訴えています。
「BRICS諸国は、国際情勢を形成する上で重要な勢力です。私たちは自主的に発展の道を選択し、発展の権利を共同で擁護し、共に近代化に向けて前進します。これは人類社会の方向性を表し、世界の発展過程に重大な影響を与えるものです。 歴史を振り返ると、我々は常にBRICSの開放性、包摂性、ウィンウィンの協力の精神を堅持し、BRICS協力を新たなレベルに押し上げ、5カ国の発展を支援し続け、常に国際公平性と公正性を堅持してきました。 正義、主要な国際問題および地域問題について正義を支持し、新興経済を促進する市場国と発展途上国の発言力と影響力。 BRICS諸国は常に独立した外交政策を提唱し実践しており、主要な国際問題については、問題自体のメリットから出発し、公正な態度で話し、公正な態度でビジネスを行い、外圧に屈したり、他国の属国になったりしないという原則を決して交換しないことを主張しています。 BRICS諸国には幅広い合意と共通の目標があり、国際情勢がどんなに変化しても、協力の当初の意図と共通の願望は変わりません」。
「中国はBRICSパートナーと協力して人類運命共同体の概念を堅持し、戦略的パートナーシップを強化し、様々な分野での協力を深め、BRICSの責任で共通の課題に対応し、BRICSの責任でより良い未来を創造し、共同で取り組んでいきたいと思います。 ともに近代化の対岸へ船出しましょう!」。(IWJ)
■【第3弾! 第15回BRICS首脳会議で新たに6カ国の正規加盟が決定、合計11カ国に拡大!】アルゼンチン、エジプト、イラン、エチオピア、アラブ首長国連邦、サウジアラビアの6カ国の正式加盟が決まる(『スプートニク』、2023.08.24)
今回のBRICS首脳会議には、正式加盟国であるロシア、中国、インド、ブラジル、南アフリカの5カ国の他、世界67カ国が招待されていました。 6カ国の加盟は、サミットの結果として共同宣言に盛り込まれ、議長国であるラマポーザ大統領によると、2024年1月1日から6カ国の加盟が有効になります。今回は拡大の第1段階としており、今後に、さらに拡大する可能性も示唆されています。
今回の6カ国の参加には、地政学的に重要な鍵を握る国が目につきます。 中東では、ペルシャ湾を挟んで向かい合うシーア派の盟主であるイランと、スンニ派の盟主であるサウジアラビアが参加を決め、ここにUAEが加わると、ペルシャ湾をBRICS諸国が取り囲むようになります。 アフリカからは、イスラム圏とアフリカをつなぐ北アフリカから、エジプトが参加します。 さらに、サウジアラビアと航海を挟んで向き合い、ジブチと関係が深いエチオピアの参加は、スエズ運河から紅海を通って、チョークポイントであるアデン湾までの、地中海とインド洋をつなぐ重要な経路をBRICS諸国が挟み込むようになる可能性が見えてきます。スーダン、ソマリア、エリトリアが残されてはいますが。
6カ国の新規参加が与える地政学的な影響は、見かけの経済規模や人口規模よりも大きいのではないかと思われます。(IWJ)