「核兵器禁止条約」条約発効に――非政府国際組織ICANの努力実る!
批准した国が50か国に達し、唯一の被爆国日本が参加しないまま、いよいよ2021.01.22に条約発効することになりました。(以下、日刊IWJ 2020.10.26 参考)
ICANは2007年に設立され、2017年に「核兵器禁止条約」の採択への功績で、ノーベル平和賞を受賞した非政府国際組織です。
ICANによると、世界の核弾頭は1万3400発に達しているということです。その大半はロシア(6375発)と米国(5800発)が保有していますが、それらに続いて中国が320発、フランスが290発、英国が215発。パキスタンが160発。インドが150発、イスラエルが90発、北朝鮮が30発から40発を有していると推定されています。
その他、米国が核弾頭を配備している国として、トルコに50発、イタリアに40発、ベルギー、ドイツ、オランダにそれぞれ20発があるとされています。残念ながら、これらの国々は、核兵器禁止条約には批准していません。これら核保有国の条約批准が今後の大きな課題となります。
《批准国と加盟国 アルファベット順》1 アンティグア・バーブーダ、2 オーストリア共和国、3 バングラデシュ人民共和国、4 ベリーズ、5 ボリビア多民族国、6 ボツワナ共和国、7 クック諸島 (加盟)、8 コスタリカ共和国、9 キューバ共和国、10 ドミニカ国、11 エクアドル共和国、12 エルサルバドル共和国、13 フィジー共和国、14 ガンビア共和国、15 ガイアナ共和国、16 バチカン、17 ホンジュラス共和国、18 アイルランド、19 ジャマイカ、20 カザフスタン共和国、21 キリバス共和国、22 ラオス人民民主共和国、23 レソト王国、24 マレーシア、25 モルディブ共和国、26 マルタ共和国、27 メキシコ合衆国、28 ナミビア共和国、29 ナウル共和国、30 ニュージーランド、31 ニカラグア共和国、32 ナイジェリア連邦共和国、33 ニウエ (加盟)、34 パラオ共和国、35 パナマ共和国、36 パラグアイ共和国、37 セントクリストファー・ネービス、38 セントルシア、39 セントビンセント及びグレナディーン諸島、40 サモア独立国、41 サンマリノ共和国、42 南アフリカ共和国、43 パレスチナ、44 タイ王国、45 トリニダード・トバゴ共和国、46 ツバル、47 ウルグアイ東方共和国、48 バヌアツ共和国、49 ベネズエラ・ボリバル共和国、50 ベトナム社会主義共和国
※「歴史的マイルストーン」(ICANホームページ 2020.10.24)Historic milestone: UN Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons reaches 50 ratifications needed for entry into forcehttps://www.icanw.org/historic_milestone_un_treaty_on_the_prohibition_of_nuclear_weapons_reaches_50_ratifications_needed_for_entry_into_force (以下、IWJによる全文訳)
これは、この画期的な条約歴史的におけるマイルストーンです。TPNW(Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons、核兵器禁止条約)が採択される前は、核兵器は、それらがもたらす壊滅的な人道上の影響にもかかわらず、国際法で禁止されていない唯一の大量破壊兵器でした。今、条約の発効によって、核兵器とは何であるかを明言することができます。『化学兵器や生物兵器と同じように、禁止された大量破壊兵器』であると。
ICAN事務局長ベアトリス・フィン氏は、歴史的な瞬間を歓迎しました。 フィン氏は『これは核軍縮の新しい章です。何十年にもわたる活動は、多くの人が不可能だと言ったことを達成しました。核兵器は禁止されました』と述べました。
広島原爆の生存者であるサーロー節子氏は『私は核兵器廃絶に人生を捧げてきました。私は何も持ち合わせていませんが、私たちの条約の成功のために活動してくれたすべての人に感謝します』と述べました。
節子氏は核兵器がもたらす人道的影響についての認識を高めるために、自身が直面した恐ろしい物語を、何十年も共有してきました。長年にわたって象徴的なICAN活動家であった節子氏にとって、この瞬間は特別に意義深いものでした。『これは私たちが認知された最初の国際法です。私たちはこの認識を、核実験による、ウラン採掘のために、秘密の実験のために、放射能の害に苦しむ世界中の被爆者たちと分かち合いたいと思います』。世界中の、原子力利用と実験の生存者たちが節子氏とともに、このマイルストーンを祝いました。
最も新しく批准した3か国は、このように歴史的な瞬間に参加できたことを誇りにしています。50か国すべてが、核武装国からの、批准しないようにという、かつてないレベルの圧力に直面しながら、核兵器のない世界を実現するための真のリーダーシップを示してきました。
AP(Associated Press)がこの式典のほんの数日前に入手した最近の書簡では、トランプ政権が条約批准国に、条約から撤退するように、他国が条約に参加するように奨励することを控えるようにと、条約下における批准国の義務とは真っ向から対立する圧力を直接かけてきたことを示しています。
ベアトリス・フィン氏は『この歴史的な条文が完全な効力をもたらすために参加した国々は、真のリーダーシップを発揮してきました。これらのリーダーによる核軍縮へのコミットメントを弱めるための、悪足掻きは、この条約がもたらすであろう変化に対する、核武装国の恐れを示すだけのものです』と述べました。
これはまだ始まりにすぎません。条約が発効すれば、すべての条約参加国は、条約下における積極的な義務を履行し、その禁止事項を遵守する必要があります。条約に参加していない国々も、条約の影響力を感じることでしょう。私たちは、企業が核兵器を生産することを止め、金融機関が核兵器製造企業への投資を停止することを期待しています。
どうやってそんなことが分かるのでしょうか?
なぜなら、私たちはこの条約と、核兵器に対する規範を推進していく、100か国以上にわたる600近くのパートナー組織があるからです。あらゆる場所の人々、企業、大学、政府は、この兵器が禁止されたことを知ることになります。そして、今こそ、みなが歴史の正しい側に立脚するときなのです」
※【核禁】核兵器禁止条約「発効」確定おめでとう!12時間テレビ(主催はICANを構成する日本の団体であるピースボート)2020.10.24 https://youtu.be/PAZ_gZiBMtg (動画の下に掲載のプログラム表で該当部分に移動できます)