台湾は「中華民国に返還すること」と、カイロ宣言に明記!
「台湾問題での中国の立場を日本が十分理解し尊重することを明記する代わりに中国側が戦争賠償請求を放棄するという因果関係がある。日本はこの重い約束を無視し、尊重の部分を捨てることで信義違反の国になりつつある」――孫崎享元外務省国際情報局局長
72年の日中共同声明は、米国政府より早く、中華人民共和国を「中国の唯一の合法政府」として認め、国交を回復するものでした。
♣日刊IWJガイド2025.12.01号より抜粋
※サンフランシスコ平和条約 第14条(a)
日本国は、戦争中に生じさせた損害及び苦痛に対して、連合国に賠償を支払うべきことが承認される。しかし、また、存立可能な経済を維持すべきものとすれば、日本国の資源は、日本国がすべての前記の損害又は苦痛に対して完全な賠償を行い且つ同時に他の債務を履行するためには現在充分でないことが承認される。(データベース「世界と日本」)
孫崎氏「(…)だから、日本は賠償を払わなきゃいけないんですよ。賠償を払うなんてとんでもない、国際的に言うと、賠償を払わないのが通説だ、なんていうのが、ほとんど日本を覆っているんだけれども、そうじゃない。賠償は、払わなきゃいけないんです。それを、周恩来は、『東アジアの安定、あるいは中国の安定のために、賠償を求めない。賠償の権利は放棄する』。これをやったわけですよね。それの対(つい)になっているのが、『台湾は中国の一部だ(ということ)。これを日本が理解して、尊重する』。このバーターなんですよ」
♣日刊IWJガイド「高市早苗総理の『存立危機事態』発言によって生じる日本の損失額は、観光業だけで年間約2.2兆円にのぼる!!」2025.12.2号https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/55267
戦後、日中が国交を回復した1972年の日中共同声明第3項は、こう規定しています。「三、中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」。
(…)孫崎享元外務省国際情報局局長は、「ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」という部分に注目しています。(孫崎享氏の講演【前半】【後半】)(…)ポツダム宣言第八項にもとづく立場とは、以下の通りです。「八、『カイロ』宣言ノ条項ハ履行セラルヘク又日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルヘシ」。
「カイロ宣言」の台湾に関わる部分は、次の通りです。「右同盟国の目的は日本国より1914年の第一次世界戦争の開始以後に於て日本国が奪取し又は占領したる太平洋に於ける一切の島嶼を剥奪すること並に満洲、台湾及澎湖島の如き日本国が清国人より盗取したる一切の地域を中華民国に返還することに在り日本国は又暴力及貪欲に依り日本国の略取したる他の一切の地域より駆逐せらるべし」
台湾は「中華民国に返還すること」と、カイロ宣言には明記されています。そして、このカイロ宣言の条項を履行するようにと書かれたポツダム宣言を、日本は受託することによって、終戦を迎え、戦後の国際社会における地位の基盤を残したのです。第2次大戦中も、大戦後も、中国国内では中国共産党と国民党との内戦が続き、その結果、国民党政権は台湾へと逃げて同地を支配し、中国大陸は中国共産党が支配を確立しました。
第2次大戦終決後に勃発した朝鮮戦争において、米国は南の韓国を支援し、中国共産党の中華人民共和国は北朝鮮を支援し、米中は対立します。1972年2月に訪中したニクソン米大統領と中華人民共和国政府との間で、2月28日、上海コミュニケ(米中共同声明)が発表され、「中国は一つであり、台湾は中国の一部である」という中華人民共和国政府の主張を、米国も受け入れました。しかし、この時点では、米国政府はまだ国民党政権が支配する台湾の中華民国との国交もあり、中華人民共和国を唯一の中国政府として認めるには至りませんでした。
それに対して、ニクソン訪中から7ヶ月後の1972年9月25日に訪中した、田中角栄総理は、中華人民共和国政府との間で5日間、会談し、日中共同宣言をまとめて9月29日に調印し、発表しました。こちらは、「ひとつの中国」を認めるだけでなく、中華人民共和国政府との間で、国交正常化を果たします。
この72年の日中共同声明は、米国政府より早く、中華人民共和国を「中国の唯一の合法政府」として認め、国交を回復するものでした。これに対して、米国政府は、72年の段階では、そこまで踏み込みませんでした。米国政府が「一つの中国」を認めた上で、中華人民共和国政府を、中国の唯一の合法政府として公式に承認して、国交を樹立したのは1979年1月1日のことです。
1972年の日中共同声明の第二項では、中国の唯一の合法政府は、中華人民共和国政府であると、他ならぬ日本政府自身が認め、調印しています。(…)したがって、唯一の合法的な政府である中華人民共和国政府に台湾は帰属する、ということを、日本政府は72年段階で認めた上で、国交を回復した、ということになります。(…)
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