日本学術会議推薦者任命拒否問題 Ⅰ
菅総理はナチスの授権法の代わりに憲法15条を悪用して独裁を行なっている! その先には軍事研究への誘導がある!
※フルオープン【10/13 17時~ライブ配信】岩上安身による立命館大学大学院法務研究科研究科長・松宮孝明氏ズームインタビュー https://youtu.be/VNfws-YL39s (27分経過~1時間経過)
擬似『法治主義』について(著書『「共謀罪」を問う:法の解釈・運用をめぐる問題点』)
松宮教授: 「裁判所がいろいろと問題のある判決を出していて、国際的にも問題になっているものがたくさんある。最近では『人質司法』に象徴されるように、被疑者・被告人の身柄をずっと拘束することなどが問題になっていますけど、本当は憲法を頂点とする日本の法律はそんなことは考えてなかったはず。それをなぜそういう事が起こるのかを含めて研究しています。
国がルールにもとづいて動いてないことがどれだけ大変なことか。忖度国家になると、学問も、経済活動も歪んできます」
任命拒否問題の経緯について
まずは最初に投じられた「一石」となった松宮教授によるフェイスブックへの投稿を紹介。
松宮教授は「会員の候補者」として推薦されながら、任命名簿に名前が掲載されていなかったと日本学術会議の事務局から報告があったことを9月29日にフェイスブックで明らかにしました。
すると10月1日に「しんぶん赤旗」が菅総理による任命拒否問題を報じ、その後、大問題として知られるようになりました。
松宮教授以外に任命されなかった新会員候補は、小沢隆一・東京慈恵会医科大教授(憲法学)、岡田正則・早稲田大教授(行政法学)、加藤陽子・東京大教授(日本近代史)、宇野重規・東京大教授(政治学)、芦名定道・京都大教授(哲学)の5人です。
松宮教授は他の候補5人について「法学以外の3人の方は初めてお名前を知ったので、調べたり報道などで知ったんですけど、いずれもすばらしい先生方。この人たちを落としたら会員いなくなるんじゃないかなくらいに思いました」と述べ、さらに「何の理由もなく推薦者名簿から何人か落として任命って、それはどう解釈しても正当化できない。そういう解釈はないでしょう」と菅総理による任命拒否を批判しました。
10月5日に松宮教授がTBS系列の情報番組「グっとラック」に出演の際、元大阪府知事でコメンテーターの橋下徹と議論になったことについて
日本学術会議に費やされる予算10億円について、番組内で「営利企業」と同じ尺度で批判を受けたことについて、岩上安身は「例えば法学に営利が期待できるんですか」と確認。これに松宮教授は「無理でしょうね」、「私の刑事法なんか人に刑罰を科す法律ですから、どれだけ議論したらどれだけ収益あがるって刑事法にそんなこと期待されたら困ります」と即答しました。
岩上安身も「営利が上がらなくてもやらなければならないことが近代国家には山ほどあって、その近代国家を成り立たせているのは知の営みなんだということが、まるで欠落している議論だった」と応じました。
※菅総理による日本学術会議委員の任命拒否問題を情報番組に出演した橋下徹元大阪府知事が苦しい擁護! ツイッターでも日本学術会議法や憲法をよく知らないのではと思わせる無理矢理の擁護を行い、立憲民主党・小西洋之参議院議員がこれに反論!(日刊IWJガイド会員版、2020.10.0 6 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20201006#idx-4)
任命拒否の理由を問われた菅総理が「人事に関すること」として回答を拒否した問題について
松宮教授:「文字通り受け止めるとすごいことをおっしゃってると思います。根拠はまったく示さないでも内閣総理大臣は学術会議の推薦にもとづいて任命する学術会議の会員につき、その任命を拒否することができる。つまり、虫の居所が悪かったでもいいと。なんでもいいし、それを説明する必要もない。これは独裁なんですよ」
松宮教授:「これは独裁の論理。しかもそれに憲法15条1項*を持ってきたんですよ」(*「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。 選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。」)
松宮教授:「もし司法試験で、(憲法15条1項のことを)総理大臣がなんでも任命したり拒否したり罷免したりできる、そんな条項だと書いたら、落ちますよ」
菅総理による独裁の手法が憲法15条を悪用したものであることを指摘。
ヒトラーの授権法との関連
松宮教授:「ヒトラーが政権掌握して、全権を持った時のやりかたと似ているんですよ。ヒトラーはワイマール憲法の中の緊急事態条項を使って自分に全権を委任する授権法っていうのを多数で帝国議会を通して、自分に全権を持たしたわけですよ」
松宮教授:「菅総理の今回の言い方は、それすらやらないで憲法15条は『授権法』(と同様に運用できるもの)だと言い張るわけですよ。すごい理屈です。憲法学者はみんなひっくり返っていると思いますよ」と驚きをもって述べました。
松宮教授には次回、続編となるインタビューを行う予定です。そちらも楽しみにお待ちください!
(日刊IWJ 2020.10.14より要点)