「CO2ニュートラル」という神話Ⅰ再エネが抱える不都合な真実
♣エコロジーに反するCO2削減や再エネビジネス 科学者があいつぎ指摘2021.02.09 https://www.chosyu-journal.jp/shakai/20210 (要点)
電気自動車、バッテリー製造も多大な化石燃料を使うことなくしては実現できない。太陽光・風力・バイオ燃料などの技術は「エネルギー価値が同量以上の化石資源」を投入して成り立つ(パネルを敷き、風車を建て、送電線を引くときに可燃エネルギーを使う)技術であり、実は「世界のCO2排出を増やす営み」なのだ。化石燃料を投入して発電設備を運用して電力を供給するという意味において「間接火力発電」であることを明確にしている。
地球の生物史は35億年前にCO2が主役となった光合成生物に始まった。50万種ともいわれる現生植物の先祖が、いまの2~6倍ほど高いCO2濃度に2億~3億年間も適応した。あらゆる生きものはCO2のおかげで存在する。ところが、CO2が主役の「光合成」については小中高の理科でほとんど教えないようになっている。
♣インドネシアのニッケル鉱山開発による環境破壊 サハルディン氏の報告 PARC主催セミナーより2021.02.14 https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/20251(要点)
今、気候危機対策に多くの政府や企業が動き始めている。だが、低炭素技術を実現するうえでは様々な課題がある。例えば車を電気自動車に転換していくためにはリチウムイオン電池が必要で、それに必要な鉱物の一つにニッケルがあるが、世界銀行の報告書はニッケルは100%近くまで増産しなければならないとしている。
テーリングダムの決壊事故
岩石の中にニッケルや銅などの鉱物がわずかに含まれる部分に当たれば、その鉱石を細かく砕き、それを水中で比重によって分離して沈んだ鉱物だけをとり出す。そのとき残ったヘドロ状の泥水をテーリングと呼ぶ。鉱山からは廃石とテーリングという莫大な廃棄物が出るわけだ。多くの鉱山ではそれが川や海に流れ出ないように溜めるためのダム(テーリングダム)をつくっている。そこで困るのが、こうした巨大なダムがしばしば決壊事故を起こすことだ。そこでインドネシアで採掘を狙う鉱山会社が開発したのが、深海テーリングという技術だ。重金属や有害物質も入っている鉱山の廃棄物を「海の底にそっと流せば汚染しない」「広がらない」といって、沖の深海でテーリングを処理する申請を出し、インドネシア政府がそれを認めてしまった。これには国内外の多くの環境団体の反対の声をあげ、政府に「新たな深海テーリングは認めない」と言わせることができた。
被害を受けている住民の現状
沿岸部で暮らしている漁民たちは、漁場が汚染されたことによって生計を立てる手段が奪われてしまっていた。ナマコ、魚の養殖、海藻の養殖が壊滅的な影響を受けていた。沿岸の海はほとんど赤茶けた色に濁っていた。また、川の水に頼っている農民たちは、彼らの水田が流れ出てきた汚泥によって汚染されてしまい、収穫ができなくなった。
2020年に成立した雇用創出法(オムニバス法)は、その名称とは直接無関係の条項が入れ込まれており、その一つが鉱山会社に抗議する住民に対する取り締まり強化と厳罰化である。たとえば南スラウェシのワォウニ島では、多くの住民たちが反対運動に立ち上がって鉱山会社を追い出したが、その後3人が逮捕され、懲役2年5カ月がいい渡された。
未来のエネルギー・バッテリー・電気自動車は、都市部や先進国に住む人々が所有しているものだ。しかしながら途上国の村に暮らしている人々にとっては、鉱山の採掘の結果、住む場所が奪われ、豊かな未来を想像することは難しくなっている。
♣再エネが抱える不都合な真実 https://www.chosyu-journal.jp/review/20291 2021.02.18 (後半部の要点)
今、先端技術を使った工業製品を生産して莫大な利益を得ようとし、それに必要な鉱物資源を手に入れるために、アジア、アフリカ、ラテンアメリカで森林を伐採し、先住民の住処を奪い、鉱山の有毒物質を垂れ流して耕作地や河川・海を汚染していることが問題になっている。そして、風力や太陽光などの再生可能エネルギーや電気自動車に転換するためには、こうした自然破壊的な鉱山開発がさらに大規模に進むことが予想されることから、この問題に注意を喚起する発言があいついでいる。途上国の鉱山の採掘現場は、先進国の人々の目に触れないように隠されている。見られたくないことをやっているわけだ。それを白日の下にさらしたことで映画『アバター』、(☜ あらすじはここをクリック、予告編はここをクリック ☞https://www.youtube.com/watch?v=qYe-ncx3rVE)が大きな反響を呼ぶことになった。それが現実に起こっていることだということが、資源ジャーナリストの谷口正次氏著『教養としての資源問題 今、日本人が直視すべき現実』を読むとわかる。
パプア・ニューギニアのブーゲンヴィルの銅鉱山開発について
この島では1970年代後半、当時世界最大であった銅鉱山が開発された。その権益の8割を握っていたのが、英・豪資本のリオ・ティント・グループという資源メジャー。この鉱山はピーク時には年間5億㌦の銅・金・銀収入を上げていたが、その利益の8割は外資が持っていき、残りの2割をパプア・ニューギニア政府が手にしたため、ブーゲンヴィル島の人たちには何の恩恵もなかった。それどころか毎日13万㌧ものテーリングと呼ばれる廃棄物が生まれたが、それはそのまま川に投棄された。有害化学物質によって熱帯雨林の樹木は立ち枯れし、大量の魚が死に、飲み水まで汚染された。
この島の先住民たちは鉱山の操業に抗議して立ち上がり、1980年代後半には反対運動は頂点に達した。何度も鉱山会社に補償を求めたが埒があかないため、つい1988年にブーゲンヴィル革命軍を結成して鉱山を占拠し、パプア・ニューギニアからの独立を宣言した。
ところが、鉱山から得られるロイヤリティに大きく依存していたパプア・ニューギニア政府は、話し合いによる解決方法をとらず軍事行動に出た。国軍に制圧を命じたのだ。しかし国軍は海岸には上陸したが、鉱山には攻め入ることができなかった。そこで1996年、政府は、世界銀行から開発目的で調達した資金のうち3600万㌦を使ってイギリスの民間戦争請負会社サンドライン・インターナショナル社と契約を結び、軍事侵攻を依頼した。だが、戦争請負会社が四機の攻撃用ヘリや57㍉ロケット砲などの調達を始めると、その情報が国中に広がり、クーデターによって首相はその座を追われ、契約はキャンセルになった。(➡ ブーゲンヴィル)
♣熱海の悲劇くり返さぬため再エネに対する法的規制を 全国再エネ問題連絡会共同代表・山口雅之社2021.09.17 必見⇨https://www.chosyu-journal.jp/shakai/21780
(…) つまり再エネが投資業になっており、現場の仕事はブルーキャピタルなどにやらせ、後にいる中部電力などの大企業やファンドが投資するだけで金もうけをする構図がある。(メガソーラーの写真4枚付き)