「NATO東方拡大」がロシアを震え上がらせた!
♣ウクライナ情勢を徹底解説 鳩山友紀夫×東郷和彦https://www.youtube.com/watch?v=jNY2mvGtdIE (前半のみ要約)
プーチンのウクライナ軍事侵攻は、約55年間ロシア(ソ連)を見てきた東郷氏にとって言葉にできないほどのショックだった。停戦・和平交渉は非常に難しいが、プーチンにとってもゼレンスキー大統領にとっても停戦する理由は充分にある。あとは交渉だ。和平交渉にあたり両代表団に一人でいいから和平を強く望む信頼ができる人物がいれば和平成立の可能性はまだ残されている。交渉はどこかで妥協点を見いださなくては成立しない。東郷氏が考える妥協点は、ウクライナ中立条約で、それをロシアとウクライナが結んで、NATOと米国がそれを守ることを法律的に約束するすることだ。
★プーチンに振り上げた拳を降ろさせるのに必要な、事態の客観的な究明★
「ミンスク合意」が守られなかった経緯をたどる
「ミンスク合意」はウクライナ(当時ポロシェンコ大統領)、ロシア、フランス、ドイツ、ドネツク、ルガンスクの2州の代表の6者が2015年に合意した協定で、この2州をウクライナの国内にある特別の自治地域にするという取り決めだった。ところが、2019年5月に大統領になったゼレンスキーが、ドネツク、ルガンスクの2州の代表を指して「テロリストだから会わない」と言い出した。このゼレンスキーの発言から、彼には「ミンスク合意」を守る気が全くないということは明らかになった。であるから、「ミンスク合意を破ったのはロシアだ」という言説が最近広まっているが、これは東郷氏には全く理解できない言説である。
プーチンがウクライナ総攻撃に走った理由を推測する
それまで(8年間)国家として認めてこなかったドネツクとルガンスクの2州をプーチンはこの2月21日に人民共和国として承認し、友好相互援助条約を結んだ。
「ミンスク合意」は2州をテロリスト扱いする大統領の元では無理だと諦めたのだろう。国として承認することで(ドネツクで75%、ルガンスクで70%を占める)ロシア人の安全を確保したのだからプーチンはそこで止まってもよかったのに、ウクライナ総攻撃を始めてしまったのは何故か。
この2州がウクライナに所属している限りは、もしウクライナがNATO加盟を望んでも、NATOの内規により「国民の中に反対分子」がいるという理由でウクライナは加盟できない。プーチンが両州を国として承認した今、もしゼレンスキーの側からも2州を国家として承認するようなことになれば、反対分子が国内にいないことになり、NATO加盟を望めばそれが実現してしまう。「それならば、今しか総攻撃する機会はない。」そうプーチンは考えたのではないか。というのが東郷氏の推測。
隣国のNATO加盟をロシアは何故そこまで脅威だと感じるのか
非常に重要な要素としては、ロシアの持つ「NATO東方拡大への怒り」がある。
89年に冷戦が終わり、90年のドイツ統一交渉にあたり、ドイツと米国の代表団はNATOは1インチも東方へ拡大しないという口頭約束をした。このことはあらゆる資料からはっきりしている。その後NATO側の裏切りが始まったにもかかわらず、ゴルバチョフはワルシャワ条約機構を解体してしまった。役目を終えたNATOも当然解体されるだろうというロシア側の期待に反し、東欧諸国の強い加盟希望もあり、解体どころか拡大が始まった。それでも当時クリントン大統領は、ロシアを慮り、ヨーロッパの安定を考えて、97年に「平和のためのパートナーシップ」(PfP)をNATOとロシアの関係安定のための文章を設けた。東欧諸国の加盟の権利は認めるが、入るにあたってはロシアの納得が得られる形にしていこう、というロシアをも内部に入れる趣旨のものができた。「ロシアとNATOは敵同士ではない。これからのユーロ・アトランティックの秩序を永続的な平和がオープンな形で(ロシアも入った)作られていくようにお互いに努力しよう」という趣旨のよくできた文章だった。
次々に東欧諸国、旧ソ連構成共和国のバルト三国がNATOに加盟。しかし、2008年ブカレストNATO首脳会議で旧ソ連構成共和国であるグルジアとウクライナについてのNATO参加同意がなされたときに、プーチンは「これ以上は我慢できない。グルジアとウクライナはNATOの東方拡大のレッドラインである」と非常にはっきりと表明した。だが、そのプーチンの警告はNATOと米国(ジョージ・w・ブッシュ大統領)に全く考慮されずにここまできてしまった。元バイデン政権にもそれを真剣に考慮したふしは全くない。
NATOに加盟するかどうかを決めるのはウクライナの主権的権利?
これは、97年のPfPと矛盾する主張であるし、NATOの第10条は「欧州の民主国は参加してもいい(may)」と言っているのであって、参加させる義務があるとは書いてない。もし、ウクライナやグルジアが主権国としてNATO加盟し、そこにミサイルが置かれれば、相当な確率で第3次世界大戦が起こるだろう。キューバ危機の際の米国の立場に置き換えてみればいい。主権国キューバにソ連のミサイルが置かれれば世界大戦も辞さないというのが当時の米国の態度であった。
プーチンの目的はロシアを欧州の内部に位置づける長期欧州安全保障の第三期
第一期: ワルシャワ条約機構に対応して1949年にNATOができた。
第二期: ソ連崩壊後に(弱い立場のロシアをほぼ外した形での)欧州安全保障上の組み替えが起きた。(NATOへの東欧諸国取り込み)
第三期: プーチンが自分の任期中に到達したいと考えている未来の欧州安全保障。力を取り戻しつつあるロシアが欧州の内部に入り、分相応に認められた形での欧州安全保障体制。そのための絶対必要条件がウクライナの中立条約。
《以下、日本は対露関係、対中関係をどうするべきかが語られています。》
※公正を要求するロシアの熊 2022.02.25 Sakerブログのため、Batko Milacic http://eigokiji.cocolog-nifty.com/b l00og/2022/03/post-0bf489.html
(…)正直に言おう。平和にねぐらで眠っていたクマが、棒で突かれ、そこから煙で追い出され、今彼らは、なぜそれをした連中を追いかけているのかと思いを巡らしている。モスクワは窮地に追い込まれ、今その強さを実証し、権益を守るため立ち上がっている。今、プーチンは、最善の場合、キエフの守衛の交替で、最悪の場合は、国家としてのウクライナがヨーロッパ地図から消えることで満足するだろう。長年挑発されてきた侵略を正当化することは可能だろうか?これは長時間の議論の話題だ。一つ明白なことがある。20年前、ロシアはNATOと統一ヨーロッパへの加入が可能だったはずで、そう望んでいた。しかしながら、NATOはロシアを敵にすることに決めたのだ。
※「ロシアの論理」で読み解くウクライナ危機【豊島晋作のテレ東ワールドポリティクス】(2022.02.09)https://www.youtube.com/watch?v=9j_-bJnp3Z8 38分44秒