「日本への原発導入元祖」死去
中曽根康弘元首相死去をドイツのラジオニュースで知って、故人の過去の「業績」をネットで検索してみました。確認できたことは、中曽根元首相によって敷かれた軌道が、☞小泉自民党政権、☞安倍自民党政権と受け継がれてきて、その結果、我々は今「あだ花を見る会」をやらされているということです。
◆中曽根康弘元首相が死去 101歳2019.11.29 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191129/k10012195791000.html
(…)被爆国の日本でも、原子力発電に向けた研究開発が不可欠だとして、原子力関係の予算案の提出を主導したことでも知られました。(…)昭和60年8月15日には、戦後の総理大臣として初めて、靖国神社に公式参拝しましたが、中国などから強い批判を受け、それ以降は参拝を見送りました。(…)中曽根氏は、行政改革などに尽力し、(…)当時の「国鉄」、「電電公社」、「専売公社」の民営化に取り組みました。(…)中曽根氏は、私的な諮問機関を設けることで、大統領型のトップダウン政治(☞)を目指した(…) 中曽根氏は、政界引退後も、安全保障や国際交流のシンクタンクの会長を務め、内政や外交をめぐって積極的な発言を続け、(…)とりわけ、憲法改正には強い意欲を示し、新しい憲法の制定を目指す、超党派の国会議員らでつくる団体の会長を務めてきたほか、おととし5月に出版した著書では、戦力
の不保持などを定めた9条2項を改正し、自衛隊の存在を憲法に位置づけるべきだなどと提案しました。。(…)
☞ 安倍総理「最高責任者は私だ」(2014/02/14) https://www.youtube.com/watch?v=pvXo6Tf35jM
◆死去の中曽根康弘氏、101年の生涯 青年将校から風見鶏、大勲位、そして「暮れてなお命の限り蝉しぐれ」の心境へhttps://www.j-cast.com/2019/11/29373909.html?p=all
(…)NHK会長だった島桂次氏は中曽根政権時代、2か月に1度ぐらい公邸に呼びつけられた(☞)。著書『シマゲジ風雲録 放送と権力・40年』によると、こんな感じだ。「『島君、最近のニュース番組などには、いろいろ問題があるじゃないか。政府に不利なことをやりすぎる傾向がある』と言って、分厚い紙の束を取り出す。NHKのニュースを文字におこししたもので、気に入らない部分にはアンダーラインが引いてあった・・・『この報道は一方的だ』。そして読売の社説を掲げながら、よくこう言った。『島君、読売の論調は素晴らしいね。渡辺君は、なかなかよくやってくれている。各新聞社の首脳にも、これを回覧して読ませたいくらいだ。NHKも、おおいにこれを参考にしたまえ(…)』」
原発を積極的に推進したが、3・11後は、「この辺で原発中心のエネルギー政策を根本的に再検討したらいいと思っています」とも語っている。(…)94歳。「今の境地を一言で表現すると、どんなお気持ち」と細川氏に聞かれると、「暮れてなお 命の限り 蝉しぐれ」という心境ですな、と答えた。(…)最晩年になっても、「生涯現役」の気迫とエネルギーを保ち続けたことを示していた。
☞安倍総理が「キャップ懇」で官邸記者の取り込み成功(2019.11.25)https://www.cyzo.com/2019/11/post_223047_entry.html
「桜を見る会」の報道を精力的に続けている毎日新聞だけが安倍総理との「会食」を欠席。ヨーロッパなど海外でジャーナリズムに身を置く者は、取材相手である政治家の出す一杯のコーヒーにすら口をつけない。(日刊IWJガイド2019.11.29)
(セワヤキ:メディアを使った国民洗脳は安倍政権でますます盛んに!)
◆セワヤキ: 中曽根康弘元首相は、94歳でまだ「生涯現役の気迫とエネルギー」を持っていたのだから、93歳であった福島原発事故に際して自身の原発導入政策の責任をキッパリと取るべきでした。しかし、上記のように、生易しい弁解発言をしただけでした。
(不思議なことに、「原発導入元祖」を糾弾する国民の声も全く聞くことはありません。また、最近、有罪の証拠が充分にある東電元経営陣3名も「全員無罪」(*1)とされました。)
世界で唯一の被爆国である日本を、それも地震・津波大国である日本を、原発大国にさせる軌道を敷いたのは、中曽根元首相でした。米国は当時、核兵器開発への批判をかわすために、原子力発電を利用しようと目論んでいました。「核の平和利用」を提唱することで、日本国民の反核運動の高まり(*2)を押さえ込み、在日米軍基地を温存するためです。一方、当時日本で政権を握っていた者たちには、原発の技術を通して核開発技術を得たい、将来核兵器を持つことで「強い日本」を取り戻したい、という野望がありました。米国は国内では地震のある地域には原発を建てさせないというのに、目先の利益のために理性を失ったのか、地震大国日本を原発大国にさせてしまいました。ウラン原爆とプルトニウム爆弾を米国に落とされた国が、地震・津波大国であるのに、原発建設でその米国に山ほどもうけさせ、その結果が「レベル7」福島原発事故です。そしていまだ日本は軌道修正できていません。今年も核兵器禁止条約の制定に反対(*3)しています。
(*1 https://iwj.co.jp/wj/open/archives/458167 ハイライト動画11分)
(*2 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik17/2018-02-13/2018021301_05_1.html 署名は3200万人に)
(*3 https://www.tokyo-np.co.jp/article/world/list/201911/CK2019110202000292.html)
◆「原発と権力: 戦後から辿る支配者の系譜」山岡淳一郎著 ちくま新書http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480066282/
内容(「BOOK」データベースより): 戦後日本の権力者を語る際、欠かすことができない原子力。なぜ、彼らはそれに夢を託し、推進していったのか。忘れ去られていた歴史の暗部を解き明かす一冊。原子力発電、それは戦後日本にとって最高の電力システムだった。再軍備ともつながるその魅力に多くの政治家は飛びついた。いち早く原子力予算を成立させ、日本を原発大国にした中曽根康弘。CIAと結びつき、総理の座を狙うために原子力を利用した正力松太郎。ウランを外交戦略の要に据え、東奔西走した田中角栄。権力者は原子の力を我がものにし、こんにちの日本を形作った。戦後から連綿と続く忘れさられた歴史をいま解き明かす。