『TPPのバスの終着駅は日本文明の墓場だ』稲田朋美
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/350207 2016年12月2日
西尾正道・北海道がんセンター名誉院長西尾正道氏が意見陳述した。
「自民党は息を吐くようにウソをつく」
「かつて自民党は、『ウソはつかない!TPP断固反対!』と言ってました。稲田防衛大臣はかつて、『TPPのバスの終着駅は日本文明の墓場だ』という発言をしてるが、個人が嘘をつくとかいうレベルではなく、党として嘘をついてる。 一体、国民は誰に投票したらいいんですか? 党の公約も破棄する。修正どころか180度違うことを言う。これは嘘としか言いようがない。これの、倫理的、道義的な問題はどうなっているんでしょう。恥ずかしくないんですかね? 何年か前には『断固反対』と言っていたのに。この様に、息を吐くように嘘をつかれたら、やってられません。国民は。
そもそも6000ページにも及ぶ内容を本当に皆さん読んでいるんですか? 『情報を出して下さい』といっても、海苔弁当の段階です。(中身を)知らないで『赤信号みんなで渡れば怖くない』といって、皆さん賛成しようとしている訳です。冗談ではない。 条文をまともにチェックもしてないわけですから、実際には赤信号も見ないで渡ろうとしているわけです。これが今の現実です。実際にTPPというのは基本的に、歴史的には昔は『戦争』。今は『TPP』です。
昔は戦争を仕かけて国益を取りました。ところが、公然と核兵器を持つ時代になったら、お互い面と向かって戦争はできない。地域紛争はもちろん起こりますけども、国家として国同士がぶつかり合えないですから。むしろ、国を動かしているグローバル企業の利益を取るために、貿易上の仕組みを変えて利益を取ろうというのが、まさにTPPの本質です」
「米国の医療はとんでもなく高い。日本のGDPの20%以上を占めていますし、日本の7倍の医療費が使われている。TPPに入るってことは、結局アメリカナイズされた医療になるということです。もうお互いに『助け合う』とか、『共に生きる』という発想はないんです。とにかく、医療も完全に金儲けの道具になるというふうに考えて下さい。
実際に米国のロビー活動費を見たら、何がターゲットですか? 農業ではないんです。最大のターゲットは保険も含めた医療業界の仕かけです。 2013年の3月4日付けのタイムスに、28ページに渡る『米国医療の驚愕・医療ビジネス』という特集号が出ていました。こういう事によって日本の医療はたぶん、かなり大幅に変わると思います。
ちなみに米韓FTAが2012年に締結されましたけど、韓国の医療費は2年間で2倍になりました。日本は韓国の医療規模の4倍くらいありますから、おそらく、あっという間に膨大にお金が飛び上がる。今、オプシーボ(新型癌治療薬)を半額にしようという議論をやっていますが、そんな話じゃ全然なくなります。本当に深刻です。
1985年以来、とにかく日本の医療市場を解放する様に、アメリカはずっと働きかけてきました。最近では新薬創出加算の様なものを作ったりして、一様に、製薬会社が有利な形で日本市場に参入してきました。しかし、TPPは正にこういった、米国が日本の医療産業の解放を行う最後の仕上げだと僕は考えております。 ちなみに米国業界と保険業界の標的は日本市場であるという事は、全国保険団体連合会の寺尾さんの論文からサマリー(要約)を取ったものです」
「私が医者になった頃は、1ヶ月の抗癌剤は数千円でした。90年代になって数万円になりました。21世紀になって数十万円になりました。そして3年前の免疫チェックポイント阻害剤が出たら数百万円になりました。桁3つ違っていますが、TPPが締結されればどうなるか? 要するに、アメリカの製薬会社の言いなりの値段になりかねない。中医協(中央社会保険医療協議会)ではチェックできません。中医協のやっている事が透明性とか公平性を欠くとISD条項で訴えられたらできませんので、かなり製薬会社の意向を汲んだ価格になる。
今、日本の医療費はパンクしつつありますが、そんな話では全然ありません。ダントツに日本の医療費は飛び抜けます。最終的には皆保険(医療制度)も実質的に崩壊すると考えております。 患者負担が増大し、混合医療が解禁されます。民間医療保険が拡大します。営利団体が医療産業に入ってきます。今でさえ、医薬品は3兆円以上の輸入超過になっていますが、もっとこれが広がっていく。このままでは日本の医療は崩壊し、日本人の健康は守られません。
具体的に何が想定されるのか。今、精神医療が医学的に効果があるということで、保険診療にしようとした場合、精神特薬をやっている医療会社が『利益を損ねるから』と訴えたら負けます。 新技術が保険診療にできない事態が考えられますし、実際の手術の術式まで特許料を取るというような事態になります。医療費も高くなりますので、国民は皆、医療保険に入らざるを得ない社会にもなりかねない」
「TPPの根底にある思考は本当に正しいのか。基本的にTPPの本質は、グローバル企業が一般国民を犠牲にした金儲けです。 自由貿易は善であるという前提ですが、国の状況や経済格差を考えてやるべきであって、これ自体が本当に良いかどうかは話が別です。産業革命以来、富の源泉というのは労働力でした。今は労働力ではなくなった。ロボットも使える、AI(人工知能)も使える。 そしたら何が富の源泉かというと、科学技術を持つか持たないかです。それがまさに富を生み出すものになる。そうすると、科学技術の負の側面は隠蔽するという事になりますし、そういうことが金儲けになっちゃうと、とんでもない格差ができます、経済的に。 それをどう社会正義や公平性を保って再配分するかというのが、本当の意味での政治家の仕事だと思います。こうした本質的にやるべきことをきちっとやらないで、どんどん企業が儲けるようなところに世界を誘導していくのは、とんでもない事だと思います」
「一人の人間として、共に生きるような日本社会をどう作るかということを、本当に真剣に考えて頂きたい。最後になりますが、生命を脅かすTPPの2つの大きな問題があります。今、医療問題を言いました。もう一つは健康問題です。
例えばこの40年間、ホルモン依存性の癌、僕が医者になった頃、女性の乳癌は1万5千人でした。今、9万人です。前立腺癌もほとんどいなかったけど、今9万人で男性の罹患者数のトップになりました。卵巣癌もどんどん増えている。子宮体癌も増えている。ホルモン依存性の癌は5倍になっているんですよ。この40年間でアメリカの牛肉消費量は5倍になりました。エストロゲン入り餌を与えて1割生産性を高めて、そういう肉を食べている日本人もアメリカ人もホルモン依存性の癌が5倍になっているのです。
それから耐性菌もそうですね。豚や鶏には抗生物質入りの餌を与えて生産を高めている。そのため、人間が肺炎になってもなかなか薬が効かないという問題もあります。
それから残留農薬が世界一緩和されている。とんでもない話だ。今、一番使われているネオニコチノイド系の農薬が自閉症の原因であることが突止められてます。小児の神経発達障害のアスペルガー症候群も含めてトータルの子供の精神発達障害の原因がこの農薬です。 最近、WHOはネオニコチノイド系の農薬は発癌にも関係しているとBランクにランキングされました。それから認知症にも関係している。鬱病にも関係しているという報告がどんどんと出てきている。このままいけばアメリカの若者や子ども達が、二人に一人が自閉症になるよという論文が、ハーバード大学から去年論文が出ました。本当に深刻なんですね」
「遺伝子組換えも日本人が一番食べてる。アメリカにとって、大豆やトウモロコシは家畜の餌です。ところが日本人は納豆で大豆食べます。味噌や醤油の原材料です。一番食生活で、遺伝子組み換えの影響を受けるのは日本人の食生活なんです。 こういう事が全くチェックされないで、世界一、遺伝子組み換え食品が普及している。日本人の健康そのものが保てません。癌の患者さんが増えているのは高齢者だけじゃないのです。食生活を含めて増えているし、更にもっと深刻なのは、昔60歳以上になって癌になっていたのが、今は40代がザラです。約20年、若年化して癌になっています。これが現実です、僕の実感として。
自分達の国で農薬を規制したり、遺伝子組み換えを表示したりすることが、TPPに入った場合、できなくなってしまうんです。日本の国の決まりよりもTPPの方が上位にある訳です。こういう現実を冷静に考えて頂きたい。
最近では遺伝子組み換えで、鮭も5倍くらい大きいものが作られていますよね。これも規制しなくていいのってことですよね。本当に何があるか分かりませんよ。子宮頸癌ワクチンだって、今までワクチンは不活化ワクチンか弱毒化ワクチンの作り方で作っていたんです。だから大きな問題は起きなかった。子宮頸癌ワクチンは遺伝子組み換え技術で作っているんです。更に効果を高める為に、アルミニウムの様なアジュバント(補助剤)を加えて作っているから、ああいう予期しない問題が起こっちゃう訳です。もう少し冷静に、命を重視する、お金よりも命を大事にするっていう発想に切り替えるべきだと思います。
最後に、大変深刻なのは、今、福島から出ている放射性物質、これは微粒子として浮遊しています。残念ながら。そういうものと、農薬も含めた化学物質が人間の身体に入った場合、相乗的に発ガンするって事が動物実験で分かっています。 こういう多重複合汚染の社会になってきて、恐らく2人に1人が癌になると言われていますけども、たぶん20〜30年経ったら3人のうち2人はガンになります。僕はとっくに死んでいますから、若い議員さんは是非確かめてください。 この場で西尾が嘘を言ったかどうか確かめて欲しい。本当に癌がどんどん増える社会になります。自分たちの国できちんと法律で、ある程度規制できるような体制を作る為には、決してTPPに加入すべきではないと私は思っております」