政権転覆の手口で他国支配の歴史を誇る国 Ⅰ 地政学的緊張が高まるにつれ、米国は最も強力な武器を振るっている。その武器とは軍事力ではなく、自国の利益にかなうように国家や地域を再編する、洗練された政治・情報統制網である。――Brian Berletic
♣米国政府の「超兵器」!!CIAの別働隊NED(全米民主主義基金)が、アジア含め世界中で破壊活動を展開!!Washington’s Unstoppable Superweapon 筆者: Brian Berletic 出典:Internationalist 360° 2024.12.23 <記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループhttp://tmmethod.blog.fc2.com/blog-entry-2888.html 2024.12.31>
ここ数カ月、西側諸国の報道機関全体においても、ロシアと中国の優れた軍事力を認める声が高まっている。ロシアが初めて中距離弾道ミサイル「オレシュニク」を使用したことで、ロシア(そしておそらく中国)が西側諸国の現在欠いている強力な軍事力を有していることが認められたのだ。NATOがウクライナに武器を供給し、訓練し、支援するという共同の努力にもかかわらず、ロシアの特別軍事作戦(SMO)が進行する中で、ウクライナ軍は接触線全体にわたって加速度的に後退を続けている。しかし、この新しい視座が浸透するなか、米国は依然として強力で、これまで比類のない、そして未だに対抗手段のない超兵器を保有していることを実証した。米国はその兵器を利用して、アラブ世界全体に、シリア経済とシリア・アラブ軍の両方をゆっくりと着実に空洞化させる状況を作り出し、2024年12月中旬に、シリアを制圧しようとする米国支援のテロリストを何年も阻止してきた両者に完全崩壊をもたらした。シリアの経済や軍隊、そして政府が崩壊しただけでなく、国連のテロ組織一覧に掲載されているテロ組織がダマスカスで権力を掌握し、シリアの路上で民族的、宗教的、政治的な反対者に対して公然と残虐行為をおこなったことを世界中の多くの人々が歓喜した。こんなことになったすべての原因は、米国当局が有する対応不可能な「超兵器」と、世界的な情報と政治空間に対するその支配力にある。
米国当局の超兵器:政治干渉、捕獲、そして統制
オレシュニク・ミサイルほど魅力的ではないが、米国当局が持つ超兵器は、実際には何倍も強力で、防御するのはさらに困難である。この兵器は、長年にわたる米国中央情報局(CIA)による政権転覆作戦として始まり、現在では全米民主主義基金(NED*)として知られる組織へと変貌を遂げた。NEDは、地球上の居住可能なすべての大陸の何百もの組織や計画、反対派組織、政党に資金を提供する子会社網 (フリーダム・ハウス、国際共和党研究所 (IRI)、全米民主研究所 (NDI)) と、関連する政府組織 (USAID*) および民間財団 (オープン・ソサエティ、オミダイア・ネットワーク) を監督している。
中東:イランとの戦争の戦場構築
近年、米国は2011年の「アラブの春」の何年も前から、扇動者の軍隊を訓練し、彼らが母国に戻り、それぞれの政府を打倒するよう指導していた。米国が支援するこれらの扇動者が作り出した政治的混乱は、同様に米国が支援する武装過激派によって利用され、政治的圧力に屈しない政府を暴力的に倒してきた。NEDのウェブサイトでは「世界中で自由を推進する」と主張しているが、その政治的干渉は国家全体、さらには地球上の地域全体を不安定化させ、破壊し、数十万人の死者と数百万人の避難民をもたらした。これらの国々に残されたものは、内部で争い続ける破綻国家、または標的となった国の最大の利益を犠牲にして米国当局の利益に完全に奉仕する従属政権に変貌し、時にはその両方が組み合わさった状態になっている。この地域自体は、この地域における米国の覇権に対する抵抗の中心であるイランとイランが支援する国々を包囲し、孤立させ、最終的には標的にして打倒することを目的とした非常に意図的な形をとっている。
ヨーロッパにおけるNED:「民主的な」ロシアの創造
もう一つの例はウクライナだ。ガーディアン紙の報道によると、独立中立のウクライナを打倒しようとする米国NED*の取り組みは2004年という早い時期に始まった、という。2014年にも同じ作戦が繰り返され、そのときは成功した。この作戦にはNED*の資金援助を受けた政治活動家だけでなく、ネオナチなどの武装過激派も参加し、キエフでは米国上院議員らが舞台に上がって彼らを応援していた。
NED* が資金提供した政治介入によって標的国の政治的独立が損なわれる目的は、その国自体を政治的に掌握するだけでなく、その国をその地域内の他の掌握された国々とまとめ、米国の主な敵対国に対する統一戦線を形成することにある。
ヨーロッパでは、その敵とは明らかにロシアだ。デイモン・ウィルソン氏は、NED* の会長兼最高経営責任者に就任する前は、大西洋協議会の執行副会長を務めており、NATOとロシアの間の「中間地域」と呼ばれる場所の解消について語っていた。これらの「中間地域」とは、NATO とロシアの間の緩衝地帯を提供する中立国にほかならない。(…)ウクライナやモルドバ、アルメニア、ジョージアの打倒と政治的掌握は、ロシアをさらに包囲し孤立させ、NATOとロシアの間の緩衝地帯を排除し、最終的にはロシア自体を打倒し政治的に掌握することを意図している。「民主的なロシア」とは、「NED* が資金提供している組織や報道配信、機関、政党によって管理・運営され、米国とNATOが押し付けた“民主主義”に従属しているロシア」という意味の婉曲的な表現にすぎない。(…)
アジアにおけるNED:中国に対する統一戦線の構築
NED*の「アジア」ウェブページは、現在では「透明性」という幻想を支えていた財務情報開示すらすべて削除して、16か国で338以上の計画が運営されており、2023年度だけで少なくとも5170万ドルの資金が調達されている、と自慢している。NEDのこのページは、地域の選挙への関与や野党の結成、さらには分離主義の推進を公然と認めている。(…)NEDを通じて、公然と分離主義を追求する多くの組織に資金を提供している。これには、米国NEDの助成金受給者である世界ウイグル会議(WUC)も含まれており、同会議はウェブサイトで「WUCは、東トルキスタンの中国占領に対する非暴力的かつ平和的な反対運動を宣言する」と公然と述べている。(…)WUCはこれを「平和的な反対運動」としておこなっている、と主張しているが、それでもその分離主義は、現在シリアに拠点を置く「東トルキスタン・イスラム運動」(ETIM)などの過激なウイグル分離主義者による暴力的なテロ行為と合致しており、国連のテロリスト一覧に掲載されているテロ組織ハヤト・タハリール・アル・シャーム(別名ジャバト・アル・ヌスラ戦線)と長年共に戦い、今や中国を標的にすることを公然と誓っている、とテレグラフ紙が最近報じた。NEDの現在の「アジア」ウェブページを見れば、その取り組みがアジア全域の個々の国の政治的掌握だけに焦点を当てているのではなく、中国に対抗する地域統一戦線の構築も目指していることが十分に明らかである。
NED* は、「民主的統一の促進」という婉曲的な表現で次のように宣言している。(…)「具体的には、NED* とその中核機関は、対話を促進し、支援を構築し、民主主義の規範と価値観を守るための指導力の強化を促進するために、地域の主要民主主義諸国である友好諸国を支援している。また、報道機関の自由や自由で公正な選挙、デジタル面の安全保障と保護、基本的人権などの主要な民主主義の問題に関して、民主的な声を増幅し、交流を促進し、地域の連帯を強化するために活動する、民主主義と人権の活動家と擁護者の地域網を支援している」と。
これらすべては、米国NED*が、米国国務省の中国を標的とした偽情報を熱心にオウム返しする地域的な反中国運動を作り上げ、地域の住民を中国嫌いにし、同時に、ロシアに対してヨーロッパでおこなったのと同じように、中国周辺のアジア全土への米国の影響力と支配を拡大しようとしていることを認める長期的な視野のもとでのやり方である。
NEDは米国当局が持つ最大の「超兵器」である。国家の政治や情報、学術の領域に侵入し、占領するその能力は、世界中で米国の覇権を阻む最大の通常軍さえも回避する。NEDは世界中の国家や地域の不安定化と破壊に関与し、ロシアが設計し配備できるいかなるミサイルよりも大きな被害をもたらしている。真に多極化した世界の未来は、米国国家とウォール街のすべての兵器、特に最も広範囲で効果的な兵器から身を守ることにかかっている。
米国NEDがどのようにこれをおこなっているかの一例は、2020年10月にタイの視聴者を対象に開催された「Beyond Boundaries」Facebookの実況配信の催しである。この催しは「中国におけるウイグル人の状況と私たちが彼らを助ける方法」と題され、元NED従業員で現在はNED*の助成金受給者である「ウイグル人権計画の対外関係担当部長」であるルイザ・グレーブ氏が出演した。その調整係には、タイ国内を狙ったNED資金による破壊活動に参加し、推進したとされる「民主化活動家」のネティウィット・チョティパットパイサル氏が含まれていた。このフェイスブック実況配信の催しの目的は、中国がタイにとって最大の貿易相手国、投資国、観光地、そしてタイ初の高速鉄道建設を含む生活基盤整備の友好国であるにもかかわらず、中国に対して受容的なタイ国民を継続的に攻撃することだった。
NED* が資金提供している野党勢力も、進行中のタイと中国の高速鉄道計画を含む、タイと中国の協力を完全に阻止することに重点を置いている。その最も明白な例は、億万長者の野党指導者タナトーン・ジュアンルーンルアンキット氏が米国を訪問し、米国務省、NED* 傘下のフリーダム・ハウスを訪問し、アリゾナ州に拠点を置くハイパーループ・ワンの代表者と会談した後、タイに戻って中国が建設する高速鉄道計画を非難したことだ。(*このやり方は、独露間ガスパイプライン建設に反対する非難キャンペーン、完成後のパイプライン爆破を想起させます。)
(…)現在、タイでも東南アジア全域でも、中国が客観的に見てより良い未来を提供しているにもかかわらず、米国は、NEDや破壊的な政治的反対派勢力網、報道配信機関、さらには米国が支配する政党によって、依然として不当な影響力を行使しており、この地域の本来明るい未来は、2014年以前のウクライナのように不安定な立場に置かれている。
フィリピンはすでに米国によって完全に占領され、中国と対峙し、対立するために利用されており、台頭するアジアは依然として、欧州や中東と同様に地域戦争に巻き込まれる可能性に直面している。