「教育の独立を守った」文科省をはねつけた名古屋市教委に拍手!https://dot.asahi.com/dot/2018031600071.html?page=1 // https://dot.asahi.com/dot/2018031600071.html?page=2
(…)市教委に最初にメールが届いたのは3月1日18時。同省から「事実関係をご教示頂きたく」という文言とともに、15もの質問項目が並んでいた。そこには、交通費や謝金の額、動員の有無、講演録や録音データの提供要請などが記され、5日18時までに回答するよう要求していた。
また、前川氏については「国家公務員の天下り問題で辞職」「いわゆる出会い系バーの店を利用し、そこで知り合った女性と食事をしたり、時に金銭を供与したりしていた」などと説明。「こうした背景がある同氏について、(中略)どのような判断で依頼されたのか」と、質問した。監督官庁からのメールでここまで強い調子の文言が並ぶと、市教委の役人がひるんでもおかしくない。ところが、そうはならなかった。
天下り問題については「文科省ひいては国家公務員全体の問題であると認識」、出会い系バーには「バー云々については、良心的な目的であったことが報道されてい」ると反論。謝礼は交通費込みで5万円と通常の金額であったことを伝え、録音データの提供は「ご提供は差し控えさせていただきます」と拒否した。動員についても、学校内外の参加者人数を報告したうえで、「一切ありません」と回答した。
また、「事前又は事後に保護者から意見や反応等はなかったのか」との質問には、「事前、事後とも、ポジティブな反応ばかり」と、バッサリ斬り捨てた。
反省の色をみせなかったことに腹が立ったのか、同省は6日朝8時、再び市教委に質問のメールを送りつけた。今度は締切を翌日の7日正午に設定し、「必要に応じてこれ以外にも改めて質問をさせて頂く可能性」や「書面にて又は直接ご確認をさせて頂く可能性があります」と、“脅し”とも思える文言を並べた。
だが、このメールも不発に終わる。同省は、2回目の質問でも、前川氏が天下り問題で「省全体の責任者」となり「本人自らの非違行為を理由として停職相当」の処分を受けたことを説明し、「校長はこの事実をご認識されていたのでしょうか」と詰問したが、市教委は「辞任されたこと以上のことは知りません」と、またもやゼロ回答。保護者や生徒の感想についても「ネガティブな反応はまったくなかったのか」と重ねて質問を浴びせてきたが、市教委は「まったくございません」と、2回目のカウンターパンチを浴びせた。
監督官庁からの嫌がらせとしか思えない調査に、市教委が役人の矜持でキチンと反論したことに「教育の独立を守った」(別の野党関係者)と称賛の声も出ている。官邸ばかりを見て仕事をしている現在の霞が関官僚にとっては、信じられない反応だったに違いない。(AERA dot.編集部・西岡千史)
(…)南相馬市役所の階段のところに、前川喜平・前文科事務次官の講演会のポスターが貼ってあった。主催は「ベテランママの会」。後援は南相馬市、朝日新聞支局、二つの地元紙である。名古屋の公立学校とは違って、安倍チルドレン議員が圧力をかけようにもできないような企画である。会場となる小高生涯学習センターは、鈴木安蔵*の生家と同じ町内にある。前川さんの講演の案内にこうある。「「平和」と「人権」と「民主主義」という人類普遍の価値を拡大し、地球規模の持続可能な開発を実現するため、日本という国に生きる我々は何をすれば良いのか。そのために、どのような教育が求められるのか。一緒に考えていきたいと思います。」水島朝穂(早大憲法学教授)http://www.asaho.com/jpn/index.html
*鈴木安蔵 http://www.asaho.com/jpn/bkno/2012/1105.html