「非常に危険!」
♣【日刊IWJガイド2023.08.14号】https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52638
米国の元陸軍司令官でトランプ政権で国防長官補の顧問をつとめたダグラス・マクレガー氏が、進軍も撤退もできず多数の死者や重傷者を出しているウクライナ軍が部隊単位でロシア軍に降伏しているとして、「崩壊の瀬戸際にある」と指摘! ポーランドとリトアニアが介入すれば、攻撃を抑制しているロシア軍が全面攻撃に転じ、「非常に危険」と警告!(以下、要点)
マクレガー氏:「衛生画像で見れば、何千ものウクライナ兵が戦場で倒れているのがいるのが見えます。そのうち、回収されないで放置されているものもあります」
マクレガー氏:「多くの場合、ウクライナの指揮官はロシアの指揮官に連絡し、『ここに重傷者がいるが、退避できないので降伏する。彼らに生きてほしい』と言っている。 ロシアは常に、降伏するウクライナ兵を良く扱っており、ウクライナ人はそれを知っています。その結果、ますます多くの降伏と脱走が見られるでしょう。ウクライナ軍がいつ崩壊するか、正確にはわかりませんが、遠くない未来だと思います。どんなに規律正しく勇敢な兵士でも、結果のない長期間の戦闘では、戦争全体の合理性に疑問を持つようになります」。
マクレガー氏:「それは、第一次世界大戦終盤のドイツにも起こりました。人々は最終的に『もう、これ以上は無理だ』と言います。私たちは、ウクライナでも同じような状況に近づいていると思います。ウクライナを支援して戦った外国の兵士も、ほとんどいなくなりました。彼らは出て行きました。おそらくポーランド人だけが残っていると聞いていますが、数千人に減っていると言われています。私の見解では、今、この紛争全体で、最も危険な時期に差し掛かっていると考えています。私が言いたいことは、ウクライナは崩壊の瀬戸際にあるということです。ロシアはまだ全面攻撃を開始していません。彼らは東ウクライナの北東部で攻勢をかけていますが、それは順調に進行しており、ほとんどのウクライナ軍は排除されています。その攻勢は続き、一部はハルキウを包囲するために北に向かって進むでしょうし、別の部隊はスラビャンスク(ドネツク州)やウクライナの他の地域に向かうかもしれませんが、まだ全面攻撃は始まっていません。私は、この紛争が交渉で解決することがないと明らかになった時、ロシア軍の全面攻撃が起こると考えています。
逆に、今、NATOの軍隊を西ウクライナに派遣することを真剣に検討している人たちがいます。おそらくポーランドがこの計画を主導しており、私はポーランドが米国をリードしていると言っています」。
マクレガー氏:「ワシントンの人々は、ポーランドを『この戦争の堅個な支持者で素晴らしい』と大絶賛しています。『ドイツはロシアが好きで、この戦争をよく思っていない』などと、無意味でナンセンスなことを言っています。ワシントンは、ポーランドだけが戦争の断固たる支持者だとして、この国を支配しているグローバリストを称賛しています。私はこれを、非常に危険だと思っています。ワシントンの政策立案者たちは、ヨーロッパの指導者たちが、羊のように従順に、この戦争に従うと考えているようですが、ヨーロッパの選挙民たちは違うと思います。つまり、何が起こるかはわかりません。私が知っていることは、(米国の)将校たちが会議に出席し、真の状況を説明し、ロシア軍の著しい軍事力の増強と優れた戦闘力について議論されるということはなかった、ということです。彼ら(将校たち)は、四つ星の将軍たちや政治家たちと一緒に政権内部にいるためには、『ウクライナが勝つだろう』とか、『ロシア人はばかで何もできないから、何もうまくいかないだろう』と言わなければならない、ということです。こうした発言が、真の状況を説明するより人気がある、ということは、政府にとっては健全ではないと思います」。
マクレガー氏:「プーチン大統領は、NATOと米国との直接対決を引き起こしたくないという、慎重な姿勢を持ち続けていると思います。また、プーチン大統領は、自国の兵士を守るため、攻撃に制約的であるとも思います。一方で、ロシア軍の上層部には、このまま制約を続けていると、自分たちが弱いと勘違いされる可能性があると、警告する幹部も多いと思います。この意見は正しいと思います。守勢で戦争に勝利することはできません。ほとんどの敵を排除できるかもしれませんが、それが必ずしも勝利を意味するわけではありません。ロシア側の上層部が考えている見解は、ロシア軍がキエフの主要通りを進軍し、ネマン川を渡るまで、戦争が本当に終わったと、つまり、ロシアが勝利したと、誰も信じないだろうということです。したがって、現在の真の危険性は、ロシアの制約があまりにも過度であり、そして、これが続けば、ポーランドとリトアニアが介入する可能性があり、それによってロシアの軍事力の大雪崩が、ウクライナと、おそらくポーランドとリトアニアに降り注ぐ可能性があります。ロシアは、ポーランドやリトアニアが介入するなら、もはや制約を守る理由がなくなります。私は、この状況が非常に危険であると考えています」。
マクレガー氏:「まず第一に、ロシアは西ウクライナを望んでいません。彼らは基本的に、ウクライナの領土を併合するつもりはありませんし、そうした発言はしたことがありません。彼らは愚かではありません。彼らは、そのような行動は、毒りんごをかごに入れ、それを食べようとすることと同じだと知っています。そうしたことを望んでいるわけではありません。私が思うに、彼らが興味を持つのは、歴史的にロシアの領土であり、またロシア系住民の大部分が住んでいる地域を保持することです。問題は、オデッサとハルキウに関するものです。オデッサでは、2014年に、ロシア系市民に対してひどいことがされました」。
マクレガー氏:「また、オデッサは最近の1年以上にわたって、武器や装備をウクライナ軍に供給するためのポイントとして使用されてきました。それに対して、ロシアは『これ以上はダメだ』と言っています。彼らは、米国とその同盟国が、黒海で何かを制御することを許容しないと言っています。したがって、米海軍や英海軍の艦船が黒海に進入することは、非常に愚かな行動であり、ロシアはそれらの艦船をたちまち沈めるでしょう。ですので、私の意見では、ウクライナとロシアが協議して、ウクライナの一部が非武装地域として、オデッサのような状態になることが考えられます。ハルキウに関しても、ロシアが単にその地域を復興するための資金を負担することはしたくないと思うかもしれません。正直なところ、現時点ではどうなるかはわかりません。ロシアと話しあってみないとわかりません。ウクライナ側では、残るウクライナの領土は中立でなければならないというのは確かです。それに関しては、議論の余地はありません。ポーランドの東側国境を越えるNATOの存在は許容されません。それを試みる者は、ロシアと戦争になるでしょう。これは明確であるし、交渉の対象ではありません。しかし、米国とその同盟国が、これについてどのように対処するかは、過去を振り返ると、良い結果は得られないと思います。ベトナム戦争を見てみると、我々が敗北した理由は、必ずしも戦場での敗北ではなく、戦略が存在しなかったことです。現実的な軍事または政治的な目標が存在せず、最終的にはその国にとってコストが高すぎると判断され、撤退することになりました。1968年以降、パリでの交渉や、ワシントンとサイゴン(南ベトナム)の間でのやりとりを経て、どのようにして我々は尊厳を保ちつつ撤退するかを考える手続きを行いました。我々は、我々が敗北したわけではない、と言えるような解決策を模索しましたが、新しいベトナム政府は自力で立ち上がることには成功しませんでした。しかし、撤退することに成功しました」
マクレガー氏:「その結果はどうなりましたか? 南ベトナムの人々には、うまくいかなかったと思います。ですが、私たちは撤退しました。問題は、バイデン大統領とその政権、そして上院や下院で戦争を支持するさまざまな関係者が、どのように我々の撤退を組織するかということです。現在のところ、彼らは撤退の必要はないと思っているようです。彼らはこれまで通り続けられると考えているようですが、私はそうではないと思います。しかし、それが、彼らが信じていることです。彼らが、これがうまくいかないことを知り、ロシアが真剣であり、川を渡る(IWJ注・全面攻撃に出る)ことが明らかになった場合、その時に我々はどうするのでしょうか。私たちの過去の歴史は、我々が何もしないことを示唆しています。それが起こったことを無視し、何も起こらなかったかのように宣言します。我々は、さまざまなことが終了したと宣言しますが、パリ、ベルリン、ロンドン、ワシントンを指導するグローバリストたちが立ち上がって『ごめんなさい、間違いでした。失敗しました』とは言わないでしょう。彼らは、ウクライナ人の命よりも、自身の政治的未来に、はるかに関心を抱いています。例えば、『デイリー・テレグラフ』に掲載されたある記事では、グローバリストを代表するリチャード・ケンプ(IWJ注・元英国陸軍大佐)という人物が登場し、『ウクライナの問題は、ウクライナ人が十分にロシア人を殺していないことだ』と述べています。私にはこれが、我々が徐々に撤退し、何がうまくいかなかったかをウクライナ人に責任転嫁しようとしている兆候に思えます。その試みは行われるかもしれませんが、うまくいくとは思いません」。
IWJのホームページhttps://iwj.co.jp/
日刊IWJガイドhttps://iwj.co.jp/info/whatsnew/category/guide
会員登録https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php