「種苗法改正」後の生活シミュレーション
以下、日刊IWJガイドhttps://iwj.co.jp/info/whatsnew/date/2020/02/28に投稿の記事より
今国会に3月にも提出予定の「種苗法の一部改正(案)」。これまでの農水省で「優良品種の持続的な利用を可能とする植物新品種の保護に関する検討会」でまとめられ公表された資料をもとに、この法案が成立されてしまったら、日本の農家・農業にどんな影響を与えるのか。実際に報告された実話から、農家と国・農水省、種苗企業との間で想定される問題について、対話形式でまとめました。
▶種子島や沖縄などの南西諸島のサトウキビを栽培する農家の場合
壮年農家「サトウキビの増殖が有料の許諾制になるって!? 毎年刈り取った後の株から新芽が出て、4~5年は増殖して栽培収穫してる。8割くらいは、種苗を買わずに、増殖してる」
年配農家「許諾手続き? 有料? どうやって手続きするんだ」
壮年農家「今栽培してるサトウキビの育種権者は国の農研機構。種子島の農研機構に尋ねたら、つくばの農研機構に尋ねろ、って。尋ねたら、ホームページにアクセスして、書式をダウンロードして申告しろ、だって」
年配農家「ホームページ? ダウンロード? なんだそれは、そんなもの分からん、パソコンもない。毎年増殖して栽培してきたんだぞ、そんな難しいこと言われたら、農業続けられない。政府は、そんなバカみたいなこと法律で決めたのか? 嘘だろ! 国は俺たち農家をつぶす気か? 俺たち農家は、島に根付いて、サトウキビ栽培を続けながら、島の経済を守ってるぞ。栽培を続けながら、村を守り、島に住み続けてるから、日本の国境線も守られているんだぞ。国はどこを向いて、こんな法律作ったんだ!」
▶米や麦、豆などを栽培する農家の場合
専業農家「毎年収穫した、米・麦・大豆から、種を選抜して次期作のために使っている。これが、全部種を購入しなければならなくなれば、毎年500万円くらいの出費増になる。これでは農家は続けられない。県は、県が育種育成した公共品種は、登録品種であっても、農家の自家採種・増殖は自由だ、と説明してる。なのに国はこれを禁じるのか!?」
農水担当官「国や地方が育種育成した公共品種であっても、すでに農業競争力強化支援法で、公的品種の知見を民間企業に提供することが、義務付けられているから、これから民間企業に権利譲渡されるかもしれません。そうなれば、その企業との間で、採種のための新たな許諾手続きと許諾料が発生します。さもなくば、すべての種を購入しなければなりません」
▶イチゴやトマトや芋などの苗を増殖して、栽培している農家の場合
イチゴ農家「種苗を買ったら、苗を増やし、毎年そこから良い苗を選抜して、増やして栽培してる。そうしてその土地になじんで、強い苗が育ち、立派なイチゴが収穫できるんだ、苗を選別して増殖を繰り返しながら栽培するのは農家の腕の見せ所、農家のやりがいの一つ。当たり前のことだぞ」
▶トマトなど野菜を栽培する農家「トマトは脇芽差しで苗を増やして栽培してる。芋だって毎年、たねイモから苗採りして増やして栽培してる。これができなくなるのか?」
種苗企業「登録品種の場合は、勝手に増殖してはダメです。毎年種苗を全部購入するか、増殖の許可が必要な品種は、許諾料払って、育種権者の許可を得てください」▶有機栽培農家の場合
有機栽培農家「うちは、先祖伝来の在来種・伝統品種を栽培している。登録品種一般品種だから、種採りも増殖も自由でしょ?」
種苗企業「在来種と思われている品種も、すでに登録されている品種もあります。おたくの栽培している品種は登録品種と特性が似てますね。企業の育成者権者から権利侵害で訴えられるかもしれませんよ。品種の違いを立証できますか? 特性表はありますか? キノコ栽培農家も権利侵害で企業から訴えられていますよ。国は新品種登録を促進するとして、登録料の引き下げをしました。在来種や伝統品種から品種改良してどんどん登録されていく可能性があります。だから在来種と似た特性を持った登録品種が増えます。そしてこれからは、ゲノム編集作物の品種が開発され、特許を持った種子が出回る可能性が高いですから、そうなれば毎年必ず種を買わなければなりません」
有機栽培農家「在来種・伝統品種を栽培・採種・増殖しているのに訴えられる可能性があるのか? ゲノム編集だって!? そんなもの一般農地で栽培されてしまったら、品種が私の栽培する在来種と交雑するじゃないか。交雑してしまったら、もう有機栽培作物と表示できなくなる。農水省は、有機JAS認証に、ゲノム編集作物や遺伝子組み換え作物は認めないって言ってるぞ」
などなど。 私たちの会の成り立ちと、なぜ種苗法改定問題に取り組むようになったかについては、会のメンバーが浦和スタンデイングというブログにアップしましたので、それを読んでみてくださいませ。政府は、どさくさに紛れて、どんどん悪法を通そうとしています。IWJスタッフの皆さまも追及を続けてください。これからも応援します。
浦和スタンディングは団体とか宗教とか政党とは無縁の個人の小さな行動です。憲法12条の「自由と権利を守る不断の努力」のために、スタンディングしたり、学んだり、伝えたり、行動したり。http://blog.livedoor.jp/ura_sta/search?q=%E7%A8%AE%E8%8B%97%E6%B3%95%E6%94%B9%E5%AE%9A
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2020年4月16日 セワヤキ