アメリカ「刑務所ビジネス」に終止符? アメリカに一途に付き従う日本はどうするのか? 米国に倣って始めた「刑務所の民営化」をこのまま広げるのか、それとも終止符を打つのか?
※フロイドさん殺害で有罪の元警官、実刑22年半の判決 2021.06.26 BBC https://www.bbc.com/japanese/57620351
※米下院、大規模な警察改革法案を可決 上院通過は困難か2021.06.26 BBC https://www.bbc.com/japanese/53189146
米下院は25日夜、広範にわたる警察改革の法案を可決した。人種差別への抗議が広がる中で民主党が提出したものだが、共和党が多数を握る上院を通過して法律になる見込みは小さい。(…)
♣ジョージ・フロイド氏の死亡事件から1年、しかし、いまだ警察改革法案は議会を通らず! 背景には人種差別と結びついた現代の「奴隷制」ともいえる「刑務所ビジネス」の存在も!これが「自由と人権」という「普遍的価値観」を標榜する米国社会の一側面! 中国を非難する資格が米国にあるのか!? 2021.5.28 https://iwj.co.jp/wj/open/archives/492605 以下、要約
米国では19世紀の奴隷解放令以降、労働力不足に困った白人農園主たちが、黒人を「犯罪者」に仕立てあげて、奴隷労働者として使用した歴史がある。米国の黒人差別問題は、「プライベートプリズン」の問題とも深く関わっている。
新自由主義的な政策を進めてきた米国では、刑務所の民営化が進み、囚人の廉価な労働力を利用した「刑務所ビジネス」が各州の経済にがっちりと組み込まれている。時給40セント(50円)といった超低賃金労働を囚人にやらせ、そこから部屋代や医療費を天引きするといったヤクザ顔負けの劣悪な強制労働収容所のようなことが堂々とまかり通っている。囚人を、無償に近い賃金で働かせる奴隷労働力とみなすやり方だ。スリーストライク制と呼ばれている、3回重罪を犯したら自動的に終身刑という制度まである。このようにして絡め取られた囚人で満杯の刑務所を、まるごと民営化して、工場経営者などに渡し、超安価な奴隷労働力として使うという人権無視がまかり通っているのだ。
現在、全米200万人の囚人の4割が黒人であり、その中で最も多い罪状は大麻所持である。プラベートプリズンはこうして黒人差別問題と直結し、「獄内低賃金労働者」の労働力が、州経済にとって欠かせない存在になっている。
ジャーナリストの堤未果氏は、その著書「ルポ 貧困大国アメリカ II」(2010年出版)で、超低賃金労働者を獲得するために、米国では、ホームレスを監視し、微罪で逮捕・収監する事例が増えていると指摘している。
♣現代の奴隷労働の拠点プライベート・プリズン(奴隷的な強制労働と搾取を伴う民営刑務所)を解体する大統領令にバイデン氏が署名! しかし、バイデン大統領自身が、この獄産複合体構築のリーダーの一人だった!2021.02.04 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/48251#idx-4 以下、要約
バイデン大統領は、1月26日、人種平等に関する大統領令を発した。その中の措置の1つが、司法省によるプライベート・プリズンの利用を終了させるために投獄システムを改革するというものだ。
バイデン大統領:「今日、私はまた、司法省のプライベート・プリズンの利用を最終的に終わらせるための行政命令を発令します。プライベート・プリズンとは、裁判前の被拘禁者を収容する産業であり、被拘禁者や連邦政府の囚人を収容しています」
ホワイトハウス: 「プライベート・プリズンの使用を終了するために我々の投獄システムを改革します。200万人以上の人々が現在米国で投獄されており、これらの個人の不均衡な数が有色人種です。大量投獄は、我々の社会と地域に多大なコストを課しており、プライベート・プリズンは、囚人にとっても刑務官にとっても安全ではない条件の下で、連邦政府の囚人から暴利を得ています。」
プレイベート・プリズンとは、奴隷的な強制労働と搾取を伴う民営刑務所と端的に表明すべきだ。レーガン大統領から「悪の帝国」と呼ばわりされたソ連という全体主義国家が、政治犯から刑法犯を含めて収容所に押し込め、強制労働を行ない搾取していたように、米国という「事実上の奴隷制を伴う帝国」も囚人からの搾取を行ない、それが経済システムの一部をなしてきたのだ。
犯罪厳罰主義を徹底し、大量投獄問題をつくる大きな要因となった1994年の暴力犯罪取締法は別名「バイデン法」とも言われている。バイデン氏自身が積極的に推進したからだ。バイデン政権は中国を新疆ウイグル自治区の人権侵害・虐待・ホロコーストだと厳しく批判し、軍事的な圧力までかけているが、「自由と人権」を標榜する米国自身が、刑務所-産業複合体の「刑務所ビジネス」によって人種差別を制度化しているのが実態だ。制度化され、刑務所-産業複合体によるビジネスと結びついた人種差別である。「ブラック・ライヴズ・マター」は、この刑務所ビジネスに直結した人種差別的な大量投獄にも抗議しているのだ。
他国に向かって「自由と人権」を訴え、それを理由として武力による「人道的介入」まで行ってきた米国社会の「正体」がこれだ。 中国でチベットやウイグル人が弾圧されているのは、事実だろうが、それを声高に言い立て、各国の軍隊を集め、中国包囲網「クアッド」などを形成し、「人道的介入」主義的な武力攻撃の理由としようとしているのは、偽善であり、欺瞞である。
♣(日本の)刑務所の民営化http://kwww3.koshigaya.bunkyo.ac.jp/wiki/index.php/%E5%88%91%E5%8B%99%E6%89%80%E3%81%AE%E6%B0%91%E5%96%B6%E5%8C%96
(…)アメリカでは、看守による囚人の虐待が横行し囚人が刑務所を相手取って、過剰暴力を容認し十分な医療を行っていないとして訴訟を起こした例が多々ある。
♣「刑務所民営化のゆくえ」日本版PFI刑務所著/編集
2007年に日本初の民営刑事施設ができた。官営施設には見られない画期的な取組みがあるが、問題点も少なくない。民営化の議論を整理し、PFI施設のあり方を提言。
※PFI方式(Private Finance Initiativ):「小さな政府」を掲げる新自由主義の本場イギリスで生まれた公共事業を民営化する際のやり方。民間の資金・能力を最大限活用する政策上の仕組み。日本では1999年「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に 関する法律」施行後に導入開始。