自民党政権、改憲にまっしぐら 「急ぐ理由については答弁がありませんでした。急ぐ理由はありません。」山添拓参議院議員
♣参議院憲法審査会での山添議員の質疑紹介 日刊IWJ 2021.05.27よりhttps://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/48852#idx-4
※国会中継「国民投票法改正案」憲法審査会(山添拓参議院議員の質疑1:52:06 ~2:15:35)https://www.youtube.com/watch?v=pZ2bfKTNXZs 2021.05.26
山添拓議員「日本共産党山添拓です。自民党の発議者に伺います。自民党の下村博文政調会長は5月3日、自民党改憲1項目の1つである緊急事態条項に触れて、感染症拡大をその対象に加えるべきだと述べました。またその際、『今回のコロナをピンチをチャンスとして捉えるべきだ』、こう述べたとも報じられております。 発議者も同じ認識でしょうか。」
山添議員「やや配慮に欠けるどころの話じゃないですよ。そして、それは政策責任者である下村氏と、憲法審査会の現場で審議に臨んでおられる、発議者の皆さんとでは異なる認識で進めてきたということになるんでしょうか。やや配慮に欠けるどころではなくて、こういう発言は不謹慎だと認めるべきでありませんか」
山添議員「コロナ対応が今、うまくいっていないのは、憲法に緊急事態条項がないからではありません。ワクチンの大規模接種や大規模検査やあるいは十分な補償や医療への支援や、あるいは東京オリンピックの中止。やるべきことをやっていなということが最大の問題であります。 続けて発議者にうかがいますが、日経新聞とテレビ東京が毎月行なっている世論調査は、政権に期待する政策は何かを問うています。直近の調査で優先的な政策課題として憲法改正を選んだのは8%でした。数年間さかのぼっても概ねこの程度です。コロナの前も今もです。改憲は政治の優先課題として求められていない、ということを認めますか」
山添議員「今、反省すべきだとおっしゃいましたけれども、反省するべきは改憲ありきで議論を進めるというその姿勢だと思います。 例えば、朝日新聞の世論調査では、今指摘のあった緊急事態条項、これは今の憲法を変えずに対応する、あるいは変える必要はないが、合計60%です。 読売新聞では憲法を改正して政府の責務や権限に関する規定を条文に明記すべきだというのが、59%を占めていますが、しかし、これについて読売新聞の評価は、政府のコロナ対策への不満が現状の対応では限界があるとの認識につながっているようだとしています。 先ほど紹介した、日経、テレ東の4月の調査では、優先してほしい政策課題としてコロナ対策をあげた人が7割でした。当然だと思うんです。目の前の命と暮らしを守ることができていない。その状況のもとで『ピンチをチャンスに』と言って、改憲論議を急ぐ、これ、『火事場泥棒』って言われても仕方ないと言わなければなりません。そもそも、安倍菅政権の下では改憲を論じる前提を欠くのではないかという点も指摘したいと思います。2014年6月、改憲手続法、今日も論じております国民投票法改定が強行された際、参議院の附帯決議の第4項は、政府が自由に憲法解釈を変更できるものではない、としていました。にもかかわらず、安倍政権は直後の翌7月、集団的自衛権の行使は認めないとしてきた憲法9条の解釈を180度転換する閣議決定を行い、翌2015年、安保法制戦争法を強行しました。日本共産党は付帯決議にも反対しましたが、これ与党は賛成されたものです。付帯決議を踏まえずに政府が違憲の解釈変更を強行したことについて、発議者はどのような御認識でしょうか。」
山添議員「閣議決定による解釈変更は国会審議の前なんですね。それを先にやったということで、安保法制違憲訴訟では、元内閣法制局長官の宮崎玲一氏が証言しています。『集団的自衛権の容認部分は憲法9条との関係で両立しないものであって、それは一見明白に違憲という域に達している』と述べています。これは元内閣法制局長官の証言です。違憲の解釈改憲であることは明らかです。こうして解釈変更による、解釈体系による9条の破壊が、今や極限にまで達して、憲法との整合性をどうにも説明がつかなくなり、今度は明文改憲まで進めようとしているわけです。続いて自民党の発議者にうかがいます。菅首相は5月3日、改憲派の集会にメッセージを寄せて、国民投票法改正案に言及し、『憲法改正議論の最初の一歩として成立を目指さなければならない』と述べました。発議者はこの点で同じ認識でしょうか」
山添議員「この国民投票法改正案が憲法改正議論の最初の一歩だというのが菅首相のメッセージですが、同じ認識ですか」
山添議員「つまり、最初の一歩であり、この法案は改憲論議を進めるための呼び水であるということをお認めになるわけですか。元々、行政府の長である首相が国会に対して改憲論議を煽ること自体、憲法尊重擁護義務に反するやり方であったと思います。安倍首相は退任時に国民的な世論が十分に盛り上がらなかったと述べました。菅首相も訪米中のインタビューで、『現状では非常に難しいと認めなければならない。政権の考えで簡単に変えられるようなものではない』と認めるに至っています。改憲そのものが求められていない、それは歴代の首相が、安倍首相、菅首相が認めていることですけれども、それでも改憲論議を進めようと思い、その最初の一歩としてこの法案を発議した、提出した、ということなんですか」
山添議員「総理の発言を引いて私は、最初の第一歩ということを述べたんですけれども、そうではないということを今、発議者は述べられました。総理の考えと自民党の現場で審議に臨んでいる方の考えが違うもとで行われてるということになるのか、と。これも指摘しなければならないと思います。 国民投票法には2007年の制定時に参議院で18項目の付帯決議が付され、14年の改定時には20項目の付帯決議が付されました。公務員や教育者の国民投票運動のあり方や最低投票率、CM規制など改憲国民投票の根幹にかかわる事項について検討を求める条項もありました。先ほど最低投票率についてはお話がありましたが、それ以外にも検討を求める条項があったわけですね。これらは参議院が求めたものです。付帯決議の中で求めた内容です。ところがその多くが今度の法案では検討が加えられておりません。それはなぜでしょうか」
山添議員「つまり、本院が付帯決議で求めた内容について、投票の質に関わるものだという整理をされましたが、その点についての議論は、検討は後回しにし、これは避けて通れない議論のはずですが、後回しにした欠陥法案として出してきたということになります。修正案の提出者にうかがいます。衆議院における修正によって附則の第4条を追加されました。そのことによって今答弁があったような欠陥については解消されたのでしょうか。欠陥を抱えたままであることを確認したというのが、この修正の意味なのでしょうか。加えて修正案の附則第4条第2号は国民投票の公平及び公正を確保するための、次に掲げる事項、その他必要な事項について、施行後3年を目途とする措置の対象としています。その他必要な事項とは何でしょうか。」
山添議員「確認ですけれども、国民投票の公平公正の確保という点では、附則で明記されている公選法並びの2項目やCM規制、運動資金の規制、ネット規制以外にも2007年の制定時や14年の改正時に、付帯決議で求められていた、公務員の国民投票運動のあり方や最低投票率についても、ここでいう、検討の対象には含まれると、そういうことですか」
山添議員「こうして必要な議論がまだまだ積み残された状態のままだということを示した状態で、この法案は参議院に送られてきました。改めて発議者にうかがいますが、こうした検討が不可欠な課題を置き去りにして今国会でどうしても成立を急ぐ理由は何ですか」
山添議員「急ぐ理由については答弁がありませんでした。急ぐ理由はありません。欠陥があるのなら、出し直すのが筋でありますので、このまま押し通すのは断固反対だということを申し上げて質問を終わります」
♣岩上安身による 日本共産党 山添拓参議院議員インタビューフルオープン 2021.05.22 https://www.youtube.com/watch?v=q2DJFsNPPxY 20分54秒過ぎ~
この山添議員インタビューでは、山添議員に入管法の問題を中心にお話を伺いました。収容者の基本的人権を踏みにじるような入管のあり方は、外国人の問題だけではありません。国民の人権を踏み倒す緊急事態条項ともつながっている問題です。
参議院憲法審査会(毎週水曜に開催)のタイムテーブル
5月26日(水)国民投票法の最初の審議、参議院議員が衆議院議員の発議者に質問
6月 2日(水)参考人質疑の予定。政治的情勢が許せば行われる
6月 9日(水)はまだ決まっていない
6月16日(水)は会期末で、会期末ぎりぎりまで引っ張ることはないだろうから、「6月9日を目途に与党側は考えているだろう」というのが山添議員の推測。
「この短い時間で、多くの国民に広げていくことができるかが大きな課題だ、世論が広がれば国会の審議も影響を受ける、諦めずに頑張る」